経営者が失敗することは許されない。
その一方で失敗を恐れないアグレッシブな経営が成功する。
この激しい矛盾の中で常に葛藤を繰り返し、決断をしながら進んでいくからには相応のストレスが付きまとう。
私と相棒のジレンマは、そこにある。
育ちつつある人材に任せたい仕事があっても、失敗した時のリスクを考えると「任せてみよう」という私と「任せて失敗したらどう補填するか」と不安で任せられない相棒のせめぎ合いだ。
「任せられる人が育っていない」という相棒に
「任せてみなければわからないのに、任せようとしていない」と言っても
「では任せて経営が傾かない保証はあるのか」と言われると
「ある」と言い切れるものでもない。
最終的な決定権が相棒にある限り、このせめぎ合いの結末は毎度決まっている。
そのことを考えていくと、互いに決断の前提としていることの相違点に気付く。
今回、育てているリーダーについて言えば、その人単独では順調に能力を伸ばしつつある。
そこは相棒も認めて居ることだ。
問題はそのリーダーを助ける役割を持つ人材だ。
相棒は自分と私の関係性を最高だと考えている。
リーダーには、サポートする人が必要だ。
最高の理解者であり、心を割って相談できる人。
周りの人達に対してのイメージ作りもしてくれて、クッション役にもなり、取り持つこともする。
自分が出来ない仕事は肩代わりしてくれる。
そんな「右腕」的な存在を育てようと何人かを教育しているが、誰もが一長一短あり適材とはいえないため、リーダーが力を発揮出来ない。
そのような状態であるからには任せられない、結果が出ていないと言われているのだ。
しかし考えてみれば相棒は天才だと私は思っており、その相棒をここまでサポートするために私は文字通り心血を注いできた。
そんなことが出来る人がそうそう居るとは思えず、それを育てるためにはどれだけの熱意をもってしても時間はかかるはずだ。
第一私は相棒が天才だと思っているからそれができる。そんな凄いリーダーでない限り必死でサポートなんてしない。そしてそもそも天才的リーダーなんてざらにはいない。
つまり、相棒が自分をモデルに考えるリーダーの在り方やチームの形は、他には通用しづらい。
本当にその「リーダーと右腕」という形のみが理想の形かどうかを、考え直す必要がある。
私には別のアイディアが浮かんでいた。