こんにちは!今週のブログは河村と釘抜が担当します。今回も、たくさんの意見が飛び交う有意義な議論ができましたので紹介していきます。 まず、二つの英字記事を河村が担当します。 

 

一つ目のニュースは、アメリカ・ニューヨークで、腎不全の女性が、遺伝子改変された豚の臓器移植を受けた、異種移植に関するニュースです。

アメリカ、ニュージャージー州に住む54歳の女性、リサ・ピサーノさんは今年4月、ニューヨーク大学ランゴンヘルスで、遺伝子組み換えされた豚の腎臓を移植する手術を受け、成功しました。医師によると、手術は成功したものの、家に帰る前に病院での回復が数ヶ月かかるとされ、その後どれだけ生きられるかはわからないと言われています。

また、今年3月、マサチューセッツ州で豚の腎臓移植を受けた男性が約2ヶ月後に亡くなりましたが、この死亡の原因が豚の臓器移植によるものとはされていません。

この臓器移植には、拒絶反応や合併症などのリスクを抑えるため、遺伝子改変された豚の臓器が使用されています。これに対して、遺伝子組み換え動物の繁殖や屠殺、豚のウイルスの伝染の可能性、末期患者へのリスクなど、様々な問題点が挙げられています。

また、多くの人々がヒトの臓器移植を待ち望む中で、動物の臓器を利用した異種移植の研究が進み、一般化されれば、より多くの患者に少しでも生き延びる希望を与えることができると期待する声もあります。

 

一つ目の質問は、異種移植に賛成か、反対かというものでした。賛成派の意見としては、個人の自由や意思を尊重するべきであり、異種移植も病で苦しむ人々の選択肢の一つとして提供するべきだという意見や、患者が異種移植によるリスクを承知の上で移植を希望しているのなら、その意見を尊重するべきだという意見が出ました。

反対派の意見としては、人間ではない他の動物の臓器を移植するという行為が倫理的に問題であるという意見や、異種移植をすることで、拒否反応を起こしたり、未知の病気に感染するリスクがあるという意見が出ました。

 

二つ目の質問は、もしあなたが臓器移植を待つ末期患者だった場合、異種移植をしたいか否かというものでした。この質問に関しては、多くのゼミ生が異種移植をしたくないと答えました。その理由としては、動物を犠牲にしたくない、自分が感染症にかかってしまった場合に周りの人に移したくない、コストが高い、医学の中でも発達していない領域なので危険がある、違う動物の臓器で生き延びることが想像できないし抵抗がある、危険を冒してまで延命しようとせず自分の運命を受け入れる、等の理由が挙げられました。

 

二つ目のニュースは、TikTokの利用がアメリカで禁止される可能性があるというニュースです。

 

バイデン大統領は2024年4月24日に、TikTokを禁止する法律に署名しました 。これにより、TikTokが1年以内に中国によって売却されなければウェブホールディングサービスのサポートを違法とし、GoogleやAppleがアプリストアからTikTokを削除することを余儀なくされます。TikTokはおよそ1億7000万人のアメリカ人が利用する人気のソーシャルメディアですが、スパイ活動や監視などの疑いがあるとして、アメリカ政府はTikTokを危惧しています。

しかし、ソーシャルメディアが法律によって制限されることを市民自由団体や憲法学者が非難し、さらにTikTokはアメリカ人の言論の自由を抑圧するという理由で、バイデン政権を提訴するとしています。

 

一つ目の質問は、法律によってソーシャルメディアの利用が制限されることに賛成か、反対かというものです。賛成派の意見としては、ソーシャルメディアに依存してしまっている人は、たとえそのアプリに危険性があったとしてもやめることができないので、法律の制定は危険なアプリから多くの人々を守るためには有効であるという意見や、利用者の個人情報を守るためにはアプリ使用の制限は必要だという意見が出ました。

 

反対派の意見としては、利用者の表現の自由を奪いかねないし、他国の文化を知り、世界中の人々と繋がる機会が失われるといった意見が出ました。また、政府が人々の投稿を統制することはやめてほしいし、アメリカはTikTokを中国のアプリだからというだけで規制しているのではないかという意見も挙げられました。

 

二つ目の質問は、もしあなたの使っているアプリが、他国によるスパイの可能性があった場合、そのアプリを使い続けるか、それとも削除するかというものでした。この質問に関しては、多くのゼミ生が使い続けると答えました。その理由としては、アプリを使用して生活することが日課になっているので、削除してしまったら日頃のルーティーンが崩れてしまうという意見や、アプリは人とのコミュニケーション手段としても使用できるため削除しにくいという意見が出ました。

 

ここからは釘抜が担当します。

 

3つ目の記事は、アイオワ州知事が不法移民を犯罪とする法案に署名したことに関する記事でした。今年4月、アメリカアイオワ州の知事は、強制送還後にアメリカへの入国を拒止した人や未解決の強制送還命令を受けた後もアイオワ州へ滞在している人に対して、そのような行為を犯罪とする法案に署名しました。この法案は7月1日から施行される予定です。不法移民が逮捕された場合、強制送還命令を受けるか、起訴される可能性があります。この新たな法に対して、地元の移民保護団体は抗議しています。彼らは、「ここに住むものは皆アイオワを故郷としている」と主張し、「知事は新しくきた人や長年住んでいる人の期待に裏切っている」と批判しています。移民の国籍の中で1番多いメキシコの政府は、アイオワ州にいるメキシコ系移民の権利を守るために法的手段を模索すると述べました。

 

1つ目の質問は、この不法移民の強制送還や収容を許可する法案に賛成か反対かです。多くのゼミ生がこの法案に反対しました。理由として、政府が移民が置かれている状況を理解できていないという意見が出ました。移民がアメリカに滞在する理由はさまざまだと思いますが、経済的な面や紛争などで自国にいることが危険だからという理由が挙げられました。移民の立場を理解して、政府がサポートすることが重要だと述べる人もいました。

 

2つ目は、日本は現在多くの移民を受け入れていないが、これから積極的に移民を受け入れるべきかという質問でした。この質問に対しての賛否は半々でした。受け入れるべきだと答えた人は、移民が日本社会に与えるいい影響について話してくれました。例えば、移民が増えることで新しい技術や文化が入り、日本の多様性が推進されるなどです。さらに、彼らが労働人口不足の解決の糸口になるかもしれないという意見も出ました。受け入れを反対する意見としては、日本の安全性や日本独自の文化が脅かされるのではという懸念点が挙げられました。また、移民受け入れにはコストがかかるが、その費用は日本のために使うべきだという意見も出ました。

 

授業の後半では、「これからの『正義』の話をしよう」第5章のイマヌエル・カントの理論について議論しました。最初に、カントの考え方をどのように捉えたかについて話し合いました。カントの考え方から学ぶ面が多くあると感じているゼミ生が多かったです。今まで学んだ功利主義やリバタリアニズムは自己の欲望が強調されていたが、彼の理論はさまざまな立場から物事を分析しているため、一貫性があり理解できるというゼミ生がいました。また、功利主義やリバタリアニズムについて腑に落ちていなかったが、カントの理論を読んで、自分の考えを整理することができたと、好意的な印象を持つゼミ生もいました。一方で、一部は理解できるが、全てにおいて賛成できるわけではないと考える学生が多かったように感じます。例えば、人助けの行為について自分の価値観とは異なるという意見が出ました。カントの考えは、思いやりという感性が否定されていると感じたようです。カントは義務に基づいた行為が道徳的だと主張していたが、欲望に従っているからこそ人間味があるという意見も出ました。最後に、殺人者から匿っている友達を守るために「家にいない」と嘘をつくことは正しいことかについて話し合いました。世の中には、普遍的な1つのルールとして嘘をつくことはいけないという共通認識があります。カントは、殺人者に嘘をつくことは誤りで、常に真実を語ることが理性の法則だと述べていました。しかしカントの考えとは反対に、多くのゼミ生は嘘をついた方が正しい時もあると考えていました。殺人者から友達を守るという状況に基づいてつく嘘は許されるべきだと意見が出ました。私たちはその状況に基づいていましたが、カントは状況に左右されるべきではないと考え、常に正しいか否かは理性によって判断されると主張しています。カントは時間や空間を超越して物事を捉えていることを理解しました。

 

カントの理論は難しいと感じているゼミ生が多かったようですが、それぞれの捉え方や考えを共有し、充実した議論を行うことができたと思います!Q1最後のゼミお疲れ様でした!ゼミを通して新たな視点を得ることができ、毎回有意義な時間を送ることができました!Q3でまた集まれることを楽しみにしています(^^)/