こんにちは! 今週のブログは伊佐地と石炭が担当します。今回も、有意義な議論ができましたので紹介していきます。

 

まず、二つの英字記事を伊佐地が担当します。

 

一つ目のニュースは、トランスジェンダーの人々に対するトイレ法案に関するニュースです。

アメリカ・ユタ州の知事である共和党のスペンサー・コックス氏は、公立学校や政府所有のトイレ、また、更衣室の使用を出生時に割り当てられた、性別と一致させることを義務づける法律に署名しました。この署名を受け、ユタ州は、トランスジェンダーの人々のトイレ利用を規制する最新の州となりました。現在、アメリカでは、少なくとも10州でトランスジェンダーの人々が使用できるトイレを規制する法律が可決され、他の9州でもトランスジェンダーの学生が使用できるトイレが規制されています。法案を可決したスペンサー・コックス知事は、「私たちは誰にとっても安全で快適な公共施設を望んでおり、この法案は全ての人のプライバシー保護を強化するものである」と述べました。しかし、法案可決を受け、アメリカ自由人権協会は、この法案は差別を永続させかつLGBTQの人々に有害で差別的な強制執行を行う危険性があるという声明を発表し、知事に法案に拒否権を発動するよう求めました。

 

一つ目の質問は、トランスジェンダーの人々のトイレ利用を規制する法律に賛成か反対かです。この質問に対して、賛成するゼミ生もいましたが、反対するゼミ生もいました。賛成理由としては、トランスジェンダーの人と同じトイレになること、また見かけることで、気持ちが落ち着かなかったり、性犯罪が起こる危険性があるなど、様々な意見が出されました。また、トランスジェンダーの人々自身も何らかの問題や事件に巻き込まれるかもしれないという意見もありました。反対意見には、規制することによって、トランスジェンダーの人々の意思を尊重することの大切さや彼らの権利を奪ってしまうという意見等が挙げられました。

 

二つ目の質問は、トランスジェンダーの人々の多くは、現在、多目的トイレを使用しているが、オールジェンダートイレ(男女共用お手洗い)の導入について賛成か否かです。まず、賛成理由として、特に個室型の男女共用お手洗いを導入することによって、LGBTQの人を含む全ての人が落ち着いて過ごすことができる、また、主に障がいを持つ方の使用を目的としている多目的トイレの混雑が解消されるというなどの意見がありました。反対意見として、共用にすることによって犯罪の発生件数が増える恐れがあったり、LGBTQの人数とストレートの人数を比較した際に、ストレートの方の人数が多いことから、共用トイレを導入するのではなく、性別に関係なく入れる、個別のトイレをいくつか設置する方が良いのではないのかなど様々な意見がありました。

 

二つ目のニュースは、アメリカの大学で行われている、ガザ戦争を巡るデモ活動に関するニュースについてです。

パレスチナ・ガザ地区を支配している武装組織ハマスによる攻撃そして、その攻撃に対するイスラエルの報復攻撃が開始して以来、アメリカの学生らは大学で、この戦争に反対するデモ活動が行い始めました。アメリカの大学の中には、企業などに投資することで得た利益を学校運営に使用しているところもあり、そのため、デモ活動を行う学生は、大学に対して、大学基金等によるイスラエルへの投資などから引き揚げるよう要求しています。また、イスラエル企業やイスラエルと取引のある企業は、イスラエルに関わる企業に投資する大学と同様に、ガザ戦争に加担していると主張しています。デモ活動は、次第に激化しており、多数の参加者が逮捕されています。

 

一つ目の質問は、デモ活動の良い面と悪い面についてです。

良い面としては、社会的に弱い立場にいる人も周りと一丸となって、自分の主張を政治家や社会に直接、訴えることができることや活動の内容に興味のない人々にも、デモ活動を行うことで内容について知る・考える機会を設けることができるなどの意見がありました。しかし、デモ活動の悪い面として、活動することによって、予測不可能な暴動が起きたり、その暴動によってデモ参加者だけでなく、周りにいる人まで巻き込んでしまう恐れがあると、多くのゼミ生が回答していました。

 

二つ目の質問は、日本はアメリカと比べてデモ活動が少ないが、日本も積極的にデモ活動をするべきか否かについてです。

多くのゼミ生が積極的に参加するべきだと回答しました。理由として、デモ活動によって日本社会について知る機会や様々な世代の人の意見を知ることができるなどが挙げられました。また、若者が積極的に参加し、自分の意見を主張することによって、政府が自分たちの主張を聞いてくれる可能性もあるという意見もありました。積極的に参加しない意見としては、暴動騒ぎに発展するなどデモ活動を行うことによって起こる問題や暴動に発展して、何人かの人が亡くなる恐れなどの意見が挙げられました。

 

 

ここからは石炭が担当します。

 

三つ目のニュースは、クローンペットの飼育についてです。カナダのケロウナ在住のクリス・スチュワートさんが二年前に亡くした愛猫ベアのクローンを飼っていることについて、議論が巻き起こっています。交通事故によって五歳で亡くなったベアに対して生きる必要性を感じたスチュワートさんは、アメリカのテキサス州に拠点を置くペットクローン会社ViaGenにベアのDNAを送り、二年間、四回の胚移植の失敗を経て費用50,000ドルと引き換えにクローンを作成しました。

1996年にスコットランドにて世界初のクローン動物「ひつじのドリー」が誕生して以降、商業的なペットのクローン作成が増加しており、絶えず行われているクローンペットの飼育について、トロント大学の生命倫理学者ケリー・ボウマン氏はその危険性を危惧しています。動物のDNAを胚に入れ、その胚を代理母の子宮に移植して行うクローン作成は、出産を生き延びる確率が5%未満であること、誕生後も平均寿命が短く臓器肥大の異常が発生する可能性があることが懸念され、また流産や死産の割合も高いとされています。

 

一つ目の質問は、クローンペットの飼育についての賛否を問うものです。この質問に対してゼミ生の全員が反対しました。理由としては多くの生徒が倫理的な問題点を指摘し、他に助けが必要な動物がいる中でペットのクローンを作成することは人間の利己的な行動であり、動物に対して敬意を示していないという意見でした。代理母やクローンとして誕生した動物の健康面が危惧されることから、その動物の幸せに繋がらない、命の価値を大切にしていないという主張です。また、クローン作成がビジネス化することに対する倫理的な問題点を指摘する意見も挙げられました。

 

二つ目の質問は、実際にスチュワートさんの立場になった場合に、亡くなった愛猫のクローン作成を望むかどうかというものです。この質問についても全員が反対し、ペットを失った悲しみを感じる一方で、一つ目の質問で指摘された倫理的な問題点や環境によっては同じ動物は誕生しないという点が理由として挙げられました。また生き物の死に対する考え方についての主張も展開され、死を受け入れることも一種の愛であり、ペットの死を経験し受け入れることで学ぶこともあるという意見も挙げられました。

 

授業の後半では、「これからの『正義』の話をしよう」第四章を読んで、第一章から第三章で説明された功利主義やリバタリアニズムの自由市場に対する主張を踏まえて、兵の召集方法と代理出産について話し合いました。

 

兵士を招集する最善の方法について、徴兵制、身代わりを伴う徴兵制、市場に任せる志願兵制の三種類が紹介されている中で、徴兵制と志願兵制の二つの意見が挙げられました。徴兵制が最も善いとする意見について、すべての人がみな徴兵するという意味ではある意味最も平等であり、反対にその他の二つの方法は経済的な圧力により一部の人を半強制的に入隊させているのではないかという主張でした。その一方で志願兵制は、最終的な決定を個人に委ねており、圧力はあるかもしれないが報酬をとるか安全をとるかは個人の自由であるという点で、三つの中では最も好ましいのではないかという意見でした。

 

次に、第四章で紹介されていた、母親の健康上の理由から代理出産を依頼した両親と金銭的な報酬と引き換えに代理出産を承諾した代理母の間で繰り広げられていた養育権をめぐる争いを踏まえて、代理出産について賛否を議論しました。多くの生徒がこの事例の代理母に対して否定的な意見を持ち、代理出産の以前に二度自分の子供の出産を経験している点を指摘したうえで、その過程の辛さや感情を理解していることが推測されるために、一度同意した契約を無効にすることはできないという意見が挙げられました。その一方で代理出産を依頼した女性の卵子を使用して代理母が胎内で育てる「借り腹型代理出産」については、賛否両論の主張が展開されました。危険を冒しても報酬が必要な程困窮している人に対して、代理出産を介して高額な報酬を得ることを禁止

することを問題視する意見の一方で、市場を介して商業的に子どもを取引することに対する抵抗感や、生まれてきた子どもが感じうる生みの親と育ての親が異なることに対する躊躇や苦しみを懸念する意見などが挙げられました。

 

時代とともに様々な考え方が生まれたことで、現代の私たちがより個人の視点で物事を考えるようになり、徴兵制や代理出産など命をより合理的に考えるようになったのではないかという意見が挙げられたように、私たちは時代とともに変化する価値観を踏まえて議論していく必要性があることを感じました。

 

今回もそれぞれの視点から有意義な議論を行うことができました。単純明快な話題ではありませんが、様々な意見を踏まえて自分の考えを深めることができたのではないでしょうか?さて、Q1のテストが近づいてきました。課題やテスト勉強を計画的に進めていけるようにしましょう。