こんにちは!今週のブログは大蔵、佐藤、真野が担当します。

 

 

まずは、英字新聞の記事に関して議論しました。

 

1つ目の記事は、坂井さんが選んでくれたファッション業界における人種差別についてです。

オーストラリアのファッション業界における差別に注意喚起をするために、10人以上の黒人モデルがメルボルン・ファッション・ウィーク(MFW)にボイコットしているそうです。モデルたちは、スタッフが自分たちの前で人種差別的な言葉を使うのを目撃したり、美容師が自分たちの髪型について軽蔑的なコメントをしたり、白人モデルと比較して低賃金であると主張しており、メルボルン市の広報担当者は、MFWは多様な民族的背景を持つ人々、LGBTIQ+コミュニティ、障害を持つ人々にとってファッション発信地のひとつであり、いかなる差別も許されるものではないと述べました。

この記事に関して、最初にこういった人種差別に関して、メルボルンのファッション業界はどのような対応を取るべきかについて話し合った結果、ファッション業界にかかわるすべての人々が多角的な視点を持つことが大事だという意見が挙がりました。また他にも、「ガイドラインを徹底し、今後二度とこういった差別が起こらないようにするのも大事ではないか。」といった意見も挙がました。

次に、モデルの人種や体形の多様化に賛成か反対かについて話し合いました。これに関しては全員が賛成しており、「モデルの存在は大きく影響を与えるので、多様化を進めることでさまざまな美を世界に示すことができる」「モデルに人種の区別は必要ない」といった意見や、「多種多様な人がそれぞれに合った服を着ることで、見ている方もよりファッションの幅が広がる」といった意見が挙がりました。

ファッション業界に限らず、人種差別そのものがなくなる社会を目指すためにもこのような議論を行うことは非常に大切だと思いました。

 

 

2つ目の記事は、鈴木さんが選んでくれた中国の卒業式で起きた出来事についてです。今年の1月に中国のソーシャルメディアでは、卒業式のガウンを着て地面にうつ伏せに倒れている女性や椅子に倒れ込んでいる女性をはじめとする、卒業生が直面している厳しい現実を忠実に表している皮肉の込められた写真が多く投稿されました。若者たちは「生きているよりも死んでいること」をテーマに写真を撮影しており、中国の雇用市場が激化し、雇用主にとって学位の価値が低くなっていることが背景にあるようです。実際、今年の夏は1160万人の大学生が就職市場に参入すると予想されており、都市部の若年層は5月に20.8%と高い水準となっています。

この記事に関して、最初にこの若者たちの行動に対してどう思うのかについて話し合いました。「中国の雇用市場について知らなかったので、記事を見て興味を持った」「インパクトがあり、たくさんの人に現状を知ってもらう効果的な方法である」といった意見や、「このような深刻な状況が少しでも改善してほしい」という意見が挙がりました。

次に、大学を卒業した後の私たちの将来について話し合いました。これに関しては多くの人が不安な部分があるようで、「これから毎日同じ時間ちゃんと働けるのだろうか」「自分に子供ができたときに、この国で育てていけるかどうか」というような意見が挙がる一方、「日本は比較的仕事を見つけやすいので、そこまで不安はない」といった意見も挙がりました。私も正直これからちゃんとやっていけるのか不安だったので、皆さんの気持ちを聞けて少し安心できました。それぞれ進む道は違いますが、皆さんがこれからも元気で生活していってほしいなと思いました。

 

 

三つ目の記事は、堤さんが選んでくれた、名古屋入国管理局での拘留事件に関する記事でした。スリランカから日本に移住していたウィシュマさんは、拘留され、悪質な環境や不当な扱いにより、留置所で亡くなりました。一つ目の質問では、この事件における一番の問題点について話し合いました。多くのゼミ生は、この事件に対し、拘置所での劣悪な環境や職員の対応に課題を感じていました。職員が彼女の事情や状態を理解していなかったことや適切な医療へのアクセスが確保できていなかったことなど、彼女の人権を侵害するような扱いが彼女の死につながったのではないかと考えていました。オーバーステイや違法な行為は、許されることではないかもしれませんが、コミュニケーションや会話を通して、彼女のことをもっと理解し、より良い解決策を考えていく必要があったように思えます。また、日本のシステムや体制を見直すべきとの意見もありました。あらゆる状況や環境にある難民や外国人移住者が合法的に滞在できるよう、効果的な体制やより多くの選択肢を用意できれば、拘留問題も改善できるのかもしれません。外国人だからこそ直面する問題や不安を知り、相手の立場に立って考えることの大切さを実感しました。

二つ目の質問では、ウィシュマさんのように拘留されてしまった外国人の人権を守るために必要な対策について話し合いました。第三者が管理局の状況を監視したり、専門家や知識のある人たちが介入したりなど、第三者からのサポートや意見、他の団体と協力が必要だという意見が多くありました。また、医療へのアクセス向上や日本のシステムの在り方を再検討する必要性を感じる人もいました。閉鎖性の高い拘置所において、職員がすべきこと、できることを再確認し、人権を守りながら、対応していくことが必要だと思います。グローバル化が進む中、こういった問題も増えていくと思うので、この機会に皆さんと意見を交換することができて、とても有意義な議論になりました!これからもこういった問題に目を向けながら、外国人と共生できる社会を築いていきたいです。

 

 

授業の後半では、松元さん、斉藤さん、三瓶さんが卒論の経過報告をしてくれました。

 

松元さんは、アメリカにおける消費アクティビズムについて研究をしています。今回は21世紀の消費アクティビズムや具体的な事例を取り上げて詳しく分析した結果、そして結論までを書きあげた卒論を共有してくれていました。事例のパートでは、環境問題、人種問題、政治的側面と関わりのある問題の三つに分けて述べられており、環境問題に関してはファストファッションと炭素排出量の多い食品について、人種問題に関してはNIKEにおける消費者のボイコットとBen&Jerry‘sにおける消費者と協力する形での社会啓蒙について、政治的問題に関してはトランプ元大統領の関連企業と協力していた企業が取引を次々と取りやめることとなった#GrabYourWalletのボイコットについて分析をしていました。それぞれの事例に詳しくなくてもしっかりと理解できるようになっていた点がとても印象的でした。これらの話を聞き、商品を買うこと自体が自分の意志や企業の価値観への共感を示すことになりうる可能性に驚くと同時に、単純に商品が好きで消費していたとしても知らない間に消費アクティビズムに参加してしまうことに怖さを覚えるといった意見が出ました。また、企業側が政治的な価値観を押し出しそれに賛同して商品を購入するという消費アクティビズムの日本の事例が思い浮かばないことから、これらの活動にアメリカらしさを感じるといった感想もありました。

 

 

斉藤さんは、1960年代のアメリカにおける人種差別について5つの映画をとり上げながら研究をしています。今回は、Nワード、ディープサウス、人種隔離、ボイコット、白人から黒人への暴力など様々な人種と関わりのある問題と、それぞれに関連する映画のシーンを抜き出して述べられていました。また、映画における白人の立場としてKKKやWASPについても触れていました。斎藤さんの卒論で印象的なのは、映画自体を掘り下げていく形ではなく、トピックごとに関わりのある映画のシーンをピックアップし、それぞれのトピックの例として用いている点でした。また、人種差別と聞くと“白人対黒人”を思い浮かべることが多い中、白人同士の優劣のつけられた人種構造について研究されている点も興味深く、人種差別への理解をさらに深めることに役立つ内容でした。斎藤さんはそれぞれのトピックにとりわけ詳しかったわけではなかったものの、これまでの生活や大学での様々な授業を通してこれらの事例に興味を持ったところから今回の卒論のテーマに選んだそうです。映画を一本観る際には気づくことができなかったそれぞれの描写の深い意味を、斉藤さんの卒論を通して理解をすることができ、見たことのある映画ももう一度見てみたくなる内容でした。

 

 

三瓶さんは、バービー人形の時代に伴う変化とその背景にある社会的価値観の変化について研究しています。前回から方向性を変更し、フェミニズムに関するセクション、人種(肌の色)に関するセクション、その他(LGBTQや障がい)のセクションの三つに分け、これらのセクションごとにバービー人形の多様化について分析すると話してくれました。バービーと言えば“白人”で“ブロンドヘア”のイメージが強いですが、時代に合わせて多様なバービー人形が発売されており、子どもたちが自分に近いバービーを選ぶことができるようになってきているようです。結論ではバービーの作者が“女の子のおもちゃを増やしたい”という想いからバービー人形がうまれたという点に注目したいと話していたことが印象的でした。また、バービー人形を売るマテル社が、単に売れるバービー人形を作ることだけを目指すのではなく、多様化が進む社会においてバービー人形の多様化を進めることで子どもたちに多様性に触れる機会を与えるという社会的な使命を背負っているのではないかといった話は、とても興味深いものでした。子どもの頃に何気なく手に取っていたおもちゃにここまで社会の価値観が反映されているのか、と驚く内容となっていて、研究の対象としてとても面白いと感じました。

 

 

11月も終盤になり、多くの人は卒論が佳境に入ってきていますね。卒論さえ終われば…!と自分を奮い立たせて、納得のいく卒論を書きあげられるよう、あと少し頑張りましょうね!