最初の記事は、鬼頭さんが選んでくれた、大英博物館での日本漫画展覧会についてです。2019年に世界最大の博物館のひとつであるイギリスの大英博物館で、「The Citi exhibition Manga」が開催されました。展覧会では、葛飾北斎の木版画など漫画の歴史ルーツや、ワンピースなどの現代の漫画まで幅広く取り扱われました。これに対して、「大英博物館は、古代文明など歴史的に貴重な遺産や美術品を所蔵していることに意義がある。ロウ・カルチャーであり、簡単に手に入れられる現代の漫画は本格的に特別展示されるのにふさわしくない」などの批判的な意見もあり、私達ゼミ生は、世界の貴重な考古学的遺跡や美術をてんじしてきた大英博物館で日本の現代の漫画を取り扱う是非について議論しました。賛成派の人は、ハイカルチャー、ロウ・カルチャーを順位づけするべきではなく、一つの文化として認識し、その価値を認めるべきであるという意見が多かったです。一方で、大英博物館の役割や、展示の仕方に疑念を感じるという意見もありました。今回の議論を通して、私は美術館の社会的、歴史的意義について考える機会になったと感じました。娯楽だけではなく、何を後世に伝えていくか、何を文明や社会の中で価値あるものとして位置づけ、それは誰によって決められるのか、美術館の果たす役割について考える必要があると感じました。