これはつい先日のことです。

 

 その日は家業の関係で、父はいつもの預け先に2泊することになっていました。

 

 いつも通りの生活に準じた宿泊準備を済ませて父を連れ、その施設へと向かいました。

 

 インターフォンを押し、スタッフさんが下りてきて、父を預ける。

 

 普段通りの段取りです。

 

 私はいつも、この時に父の様子を簡潔に伝えます。

 

 病院のように表現するなら、言わば申し送りですね。

 

 重度の認知症患者の場合は、自分で自分の様子を上手く人に伝えられないので、主介護者が様子を伝えることは必須と考えています。

 

 このことを理解している人は、父のお迎えの時、こちらから聞かなくても、自ずから伝えてくれます。

 

 スタッフさんからの発信がない時は、こちらから気になる点を聞きますが、中には答えられない人もいます。

 

 それは施設に限らず、病院でも同じですが…

 

 今回、この件について書くか書かないか正直迷いました。

 

 書くことで、つまりは暴露されることで、今後受け入れてもらえなくなる事が頭をよぎるからです。

 

 でも事実は事実なので、やはり書くことにしました。

 

 このブログも間もなく4年。

 

 一貫して言ってきている、仕事は人。

 

 そう、人なのです。

 

 施設全体が悪いわけではなく、また、その人が悪人という訳でもないのです。

 

 きっと、知識や技術、経験が未熟だということに過ぎないのでしょう。

 

 さて、問題の出来事は何かというと、父の就寝着が持参したままの状態で戻ってきたということです。

 

 これは初めてのことではありませんでした。

 

 過去にもあり、その時は気にはなったものの、見て見ぬふりをしたというか、もしかして…とは思ったものの、確かめるということをあえて控えたのでした。

 

 でも今回は2泊連続で就寝着を使った様子が見られなくて、恐る恐る連絡し、聞いてみたのです。

 

 そうしたら、やっぱり就寝着は使用されず、父は日中過ごした衣服のまま就寝させられていたのでした。

 

 正直に現場に確認した内容を家族に話した施設側の対応は立派だと思いました。

 

 その反面、家族からの申し出がなければ、わからなかったことであり、今回のようなことは氷山の一角に過ぎず、何も言えず泣き寝入りしている家族もいるのかもしれないとも感じました。

 

 就寝着を使わず、日中過ごした衣服で寝かした理由は、皮膚剥離をさせてしまうと思ったからだそうです。

 

 夜間看護師がいない施設では、何かあった時の対応に介護職では不安なのでしょう。

 

 介護事業を展開する私としては、経営上の問題や、人材不足のこともあり、何とも複雑な気持ちです。

 

 家族としては、認知機能を維持するために、朝は朝で更衣をし、夜は夜で更衣をして、毎朝毎晩頑張っているのに、お金をかけて人に預けて、状態が悪くなるようなことをされたのでは、たまったもんじゃないぜ!と思いました。

 

 認知症患者にとって、日常の生活習慣は、健常者が考える以上に重要な意味があります。

 

 皮膚剥離の危険と、更衣をしないことによる弊害のどちらがその患者にとってより不利益と言えるのか、是非とも考えていただきたいと思います。

 

 そんな中、我が子自慢をして申し訳ないですが、週末ショートに行って、戻ってきた父を介護して、少し匂ったり、車椅子の座面が汚れていたり、関節の動きが鈍くなっていても、一度デイサービスに行けば、父から石鹸の香りがして帰ってきて、車椅子の座面もきれいになって帰ってくる。

 

 関節の動きも滑らかだ。

 

 私の父だから特別だという人もいるかもしれないけど、そうではなく、言わなくてもそういうところに気が付き、物言わずそっと支援できる本当に心の綺麗な子達が揃っているんだと、私は信じています。

 

 皆、いつも本当にありがとう。