指定難病である水泡性類天疱瘡は、急性期病院で入院させてもらえるような疾患ではない。
父の水泡の状態や、全身管理の必要性、手足の浮腫みの状態から考えると、十分入院加療の必要性は感じるが、それでも急性期病院はその適応ではないのである。
何故なら、基本的には内服薬での治療となり、長い期間経過を観察しながら地道に治療を続けていくという治療方針だからである。
しかしながら、父の様に重度の認知症を患い、立位保持も出来ないとなると、在宅での治療継続というのはかなり大変なものになる。
父の場合は、日常生活を円滑に過ごしていく為に必要な内服薬も多数あり、癲癇発作との兼ね合いや、この類天疱瘡の治療薬との兼ね合い等も吟味していく必要がある。
総合病院だから安心というものではなく、個人病院だから不安というものでもない。
必要な事は、父の事をよく理解しているスタッフが居る環境で、父の治療が行われる事。
また、最も重要と言えるのは、主治医の存在というものだ。
父がこれまで何度も入院してきた病院に、信頼できるあの医師はもういない。
その病院に以前、思いがけず熱発にて入院した際は、僅か2週間とは言え、入院したことを後悔したが、入院時の経緯によっては主治医が変更になると聞き、私はそこに望みをかけていた。
入院調整では、総合病院皮膚科医師、個人病院皮膚科医師、訪問診療の主治医等々、幾人もの人の手を借り、情報の共有や連絡がなされ、総合病院受診の翌日には入院の手筈が整った。
その日、父と共に入院病院を訪れ、主治医となる人の診察を待つ私は、期待と不安に包まれていた。
大袈裟かもしれないが、この主治医によって、父の今後の人生が左右されると私は感じていたからである。
類天疱瘡は治療します、しかし、後は知りません、そんなスタンスの医師ならば、父は退院後寝たきりの完全胃瘻食になるだろう。
でももしも、主治医が中心となって、難しい父の治療と介護の両立を成し遂げてくれたなら、父のこれからはこれまでと変わらないものになる。
全ては主治医にかかっている。
ある意味ドキドキしながら診察を待っていたが、その診察が終わるころ、私の不安は安堵に変わっていた。
診察の間、医師との対話で一番心に残る言葉だったのは、父がまだ経口摂取出来ている事を知り、その医師が、父のその機能を、残したいな…と言ってくれた事だ。
無論、類天疱瘡と誤嚥性肺炎併発となってしまっては、更に手強くなってしまうので、慎重な判断や、一時的な完全胃瘻の話もあったが、そんなことは私の中でも想定内である。
努力しても結果が伴わない事だって有るのが現実。
ただ大切な事は、その努力をしてくれるかどうかである。
今回の入院は、何だか期待できそうだなと少し安心して、父を預けて帰宅したのだった。
新型コロナウィルス感染症の影響で、入院中の面会が一切できない事が、唯一の不安材料。
でも大丈夫!
類天疱瘡の主力治療は総合病院なので、月1回は外来受診となり、その都度父には会えるという訳。
良かった~
関節可動域や認知機能、月1チェック、私がするからね♪
フッフッフッ ( *´艸`)