朝を迎えて、私は心を決めていた。
あの皮膚科、一人で連れて行くのは大変だけど、もう一度診てもらおう
皮膚疾患は皮膚科で診断♪
水泡が増えて来るならまた受診をと言われていたし…
という訳で、その日、デイサービスには事情を説明し、取りあえず皮膚科へ。
診察で医師は水泡増えてきたか…確定診断には検査が必要だけどここでは出来ないから大きな病院へ行く必要がある、今日行けますか?と。
勿論です!
父を見ていれば早急に確定診断の上での治療開始が必要と容易にわかるし。
私はその日の予定を調整しつつ、急遽総合病院へ。
こうなる事を見越して、受付終了時間になる前に受診できるよう、根回ししといて良かったー!
総合病院では時間をたっぷりとられたけど、その日に検査を受ける事が出来た。
診断名、水疱性類天疱瘡。
医師は確定診断には今日の検査結果が必要だけど、1週間かかる。それまで何もしないで居る訳にはいかない状況だから、直ぐに治療を始めましょう!
そう言って、今日から内服する治療薬を処方してくれた。
加えて、次々出来る水泡に対する処置の方法も。
水泡は破らないように注意する事。
破れたら、洗浄して消毒して軟膏塗布してガーゼして、包帯。
ちょっと待って!
破らないようにって、これだけ重度認知症の父に、それは無理です!
しかも足の裏にも出来ているし、それをつぶさないようにって…
医師は、立位は暫く控える必要があるね…って。
………
私は暫く思考が止まってしまった。
父が立位を取れないとなると、今の生活スタイルを大きく変えなければならない。
車椅子への移乗やトイレでの排便で、二人掛りで父を担がなければならない。
これではとても重労働!
福祉用具というものに、吊り上げるタイプのリフトも存在するが、狭い父の部屋では…
加えてこの処置の量!
朝に晩にとガーゼ交換や軟膏塗布。
ガーゼや包帯なんて病院みたいにいくらでもストックがある訳じゃないし…
物品があってもう一人介助者が居れば、私がガーゼ交換できるけど、果たしてそこまでして在宅で粘る必要性ってある?
あるね。
入院すれば身体的にも認知機能的にも低下する。
食事もとれなくなるかもしれない。
それでも、ただでさえ介護にかなり手間のかかる父なのに、これだけ医療的処置が必要になっていても、在宅介護で粘るとなると、サービス提供者に嫌われてしまいそう。
介護の現場では医療に弱いスタッフも居るし、受け入れを拒否されるかも知れない。
となると、選択すべきはただ一つ。
入院させてくださいな!
私は総合病院の医師に入院の意向について伝え、後方支援についても説明し、紹介状を書いてもらい、入院調整の段取りをお願いしたのだった。
入院する事で、また経口摂取出来なくなるかもしれないけど、それも覚悟の上。
水疱性類天疱瘡という指定難病に罹患してしまったのだから、もしそうなっても仕方ない!私はそう腹をくくって、父に入院してもらう事にしたのだった。