退院した日の夜、初めて父をベッドに寝かせて、就寝用のオムツに交換している時の事だった。

 

 私は父の肛門周囲を見て驚いた。

 

 酷く爛れていたのだ。

 

 肛門を中心に広範囲に赤くなっているだけではなく、肛門周囲になればなるほど赤みを増し、オムツに血がにじむほど、皮膚が爛れていた。

 

 父との同居生活丸3年。

 

 今年は4年目突入だが、こんな風に父にオムツかぶれを起こした事は一度もなかった。

 

 常時オムツだからこそ、重度の認知症だからこそ、皮膚トラブルは厄介だからだ。

 

 予防は最善の治療だ。

 

 それなのに、病院という治療の場でありながら、これ程までのオムツによる皮膚の爛れを放置するなんて。

 

 退院時、排便は毎日ありましたからと聞いていたが、オムツかぶれの事等何も聞いていなかった。

 

 何だこれは!

 

 開けてびっくり玉手箱ではないか!

 

 あまりに痛々しく、清拭して、手持ちの皮膚トラブル万能薬を塗布したが、父はかなり痛がっていた。

 

 オムツ内に排便はなかったが、どうすればこうなったか、それは容易に想像は付く。

 

 毎日3食胃ろうだった父は、便が水様化する。

 

 元々毎日の排便の為に、緩下剤を日に3回飲んでいたが、入院後、飲まさずにいてくれただろうか…

 

 オムツ内に排便しても、便が出たとは言えない父。

 

 病院の都合で個室に居た父。

 

 誰かが訪問して、匂いに気が付いてオムツ交換してくれただろうか…

 

 匂いに気付いても、自分の担当ではなかったらスルーして、気付かない振りをしたスタッフはいなかっただろうか…

 

 オムツ交換の時まで、オムツ内に水様便が常時肌に付着していたのだろう。

 

 そうでなければこんな状態になりやしない。

 

 父は常にオムツの人だから、オムツ内に排泄物がなくても、ただオムツをしているというだけで蒸れるでしょ?

 

 だからせめて排泄物で湿気がオムツ内に充満しないよう、オムツの巻き方も工夫して、オムツ内の肌が出来るだけドライな状態で保てるように配慮していたのだよ。

 

 これまではね。

 

 今時その程度の配慮ができる看護師はおらんのかい?

 

 百歩譲って、父のオムツ内便汚染状態が長きに亘り、このような皮膚トラブルを起こしてしまう事が致し方ないとしても、その皮膚トラブルに対して、何も処方がなされていないという事は、一体どういう事なのだ?

 

 喧嘩売られてるのかしら?(笑)

 

 考えられることは3つ。

 

 ①皮膚の糜爛に気付かなかった。或いは気づかない振りをした。

 

 ②気付いたが上申するのを忘れた。

 

 ③もう退院するからいいかと思った。

 

 どれであったとしても病院の落ち度であることに変わりはないと思うけど。

 

 今更退院した病院を非難したって仕方がない。

 

 いち早く治すことにシフトしよう!

 

 私は訪問診療へ連絡し、状況を伝えて、軟膏の処方を貰う事にした。

 

 明日からのデイサービスでは毎日お風呂に入れてもらえる。

 

 オムツの巻き方も心得ている者ばかりだ。

 

 大丈夫!華桔梗ならすぐに直すぞ!

 

 乞うご期待!

 

 信頼できるスタッフに恵まれ私も幸せです!