薬の作用というのは本当に不思議です。

 

 身体の中で何が起こっているのか、皆目見当もつきません。

 

 目に見えないからこそ、こんな感じかな?と想像するより他ないのです。

 

 父の興奮を抑制する内服薬は、飲み始めの頃、その量を分3から分2、分1と減らしていったのですが、当初はそれでも作用の仕方が違うと感じる程に、父の傾眠が強くなり、日々の介護が大変になっていました。

 

 ところがです。

 

 日、一日と経過する毎に、父の覚醒は上がりつつあるように感じられました。

 

 今度は上がりすぎて、若干意志が強く出るようになり、自分の言葉にならない言葉で不快な感情や嫌だという意思表示を大きな声で発するようになりました。

 

 薬の内容を変えたわけではありません。

 

 貼付剤から内服に変わったものを、夕食後のみの分1での内服で忠実に守って維持しています。

 

 それなのに、父の様子は日毎に変化していく。

 

 推理するなら、薬物というものはやはり体内に微量なりとも蓄積されるものであり、当初の傾眠はそれによるものだったのかもしれません。

 

 父の場合は認知機能の状態にも日によって、睡眠によって、水分、排泄等によっても常に変化が見られる人でしたから、これまでの父の変容の全てが薬のせいだけではないとは思いますが、それにしても変更当初は、長らく使用した貼付剤の体内蓄積と、新しく入ってきた薬物効果による一時的な混乱だったと考えるのが自然かもしれません。

 

 加えて言うなら、ここ最近の気温上昇による若干の水分不足?

 

 可能性を探る術はなく、全てが推理の域を超えません。

 

 しかしながら、認知症の看護介護においては、この推理する作業こそが全ての肝になると私は思います。

 

 認知症の人は、重度になればなるほど、自分の身体の状態を的確に他者に伝える事が出来ません。

 

 だから介護する者は、自らの介護提供のみでなく、観察し、変化に築き、そして考える。

 

 この作業が最も重要にになってくるのだと思います。

 

 華桔梗では、終業時のミーティングにて、現場で起こった様々な事例において、常に共に考えるという作業を行っています。

 

 そこには各種専門職のその知識と経験からならではの意見が飛び交い、介護職もそこに現場としての意見を投じているのです。

 

 ケアマネが弊社担当であれば、総合的な方針までご提案させて頂きますが、ケアマネが他事業所であった場合でも、気付いたこと、改善策、より良い提案等々、現場看護師から直接ご本人やご家族、ケアマネへとお伝えさせて頂いております。

 

 それによって、様々な問題が解決してきた事例がたくさん存在しています。

 

 さて、父の場合、今度は今使っている薬の体内蓄積や、薬に対する耐性などについて、今後は観察とアセスメントを継続し、華桔梗のチームメンバー皆で父の今後について考えていきたいと思います。

 

 まもなくゴールデンウィークですね。

 次週、5月2日のブログはお休みさせて頂きます。