それは、総合病院受診という、父との久しぶりの外出での出来事でした。

 

 入院や在宅生活では、父とどこかに出かけるという事はまずありません。

 

 父のような重度の認知症で、しかも身体障害者となると、食事や排泄も子供以上に手がかかるからです。

 

 介護者が私一人では、本当になかなか厳しい。

 

 それが現実です。

 

 だから、日常の生活介護だけで精一杯で、余暇を与える時間などありません。

 

 しかし、病院受診となると話は別。

 

 誰かがやってくれる訳もなく、平日の日中に行かなければ病院は受け付けない。

 

 当然です。

 

 段取りの計画を立てて実行あるのみ。

 

 私はまず、天気を調べます。

 

 雨が降っていると、車椅子の人も、その介護者も傘が必要なんだけど、父は傘を持てません。

 

 傘が何かもわかりません。

 

 介護者が傘を持てば車椅子が動かない。

 

 だから雨の時、選択肢は合羽です。

 

 車は父のようなチルト式車椅子でもそのまま乗車できるものを購入しているので、乗車は問題ありません。

 

 でもシートベルトが難しい。

 

 父の場合、左足がほぼ無いに等しいので、身体を固定し辛いのです。

 

 可能な限り安全を考慮してシートベルトを装着し、病院駐車場に着いたら、そこから病院に入るまでがまた問題ありです。

 

 車から車椅子に乗車した患者を降車させるには、前進駐車するしかありません。

 

 車のバックドアを開けて降車するからです。

 

 後進駐車ではバックドアも空けるには余裕がないし、第一スロープが延ばせない。

 

 前進駐車してスロープを延ばし、車椅子ごと父を降車させる際には、後続車への配慮が必要。

 

 皆勢いよく、我先にと前進して来ますから。

 

 車椅子の父が後続車にひかれないように、気を配りながら、荷物を準備して、いざ病院へ。

 

 いえいえ、ここ何階?

 

 駐車スペースの節約の為、立体駐車場が殆どだから、この病院も例外ではなく、立体駐車場にはエレベーターが設置してあります。

 

 でもさ、だけどさ、このエレベーター、その必要性を考えて造りました?

 

 間口は狭いし、中も狭い。

 

 チルト式車椅子の父は回転する事すらできません。

 

 更には父の車椅子が入ると、もう前後がいっぱいで、入り口ドアから父の車椅子の横の空きスペースに乗り込むことが、かなりやせた方でないと難しい。

 

 立体駐車場の階数が多いから、歩ける人も上からではエレベーターで降りてくるし、階層が低くても足腰の弱い高齢者はエレベーターを使うのです。

 

 でも、車椅子やベビーカーは、エレベーターでなければ移動もできません。

 

 師走の朝からエレベーターは大混雑です。

 

 どうしてこういう事になるのでしょう。

 

 でも知ってました?

 

 今からでも僅かな費用で改善は可能なんです。

 

 1階と半地下を車椅子やベビーカー使用車の専用駐車場にすれば良いのです。

 

 そうやって、エレベーター利用者の絶対数を減らすという事。

 

 早く気付いてやればいいのに!

 

 だって、団塊の世代、800万人全員が75歳以上を迎えると言われる2025年は、もうすぐそこまで来ているのだから。