虐待と言える状況を発見した時、その時の対応は様々である。

 

 虐待そのものは、現場で起きており、問題となって浮上するのは氷山の一角に過ぎない。

 

 介護施設においては、事業主は勿論、施設長であっても把握しきれない現状がある。

 

 定期的に家族が訪問し、本人から家族への訴えがあって初めて、家族から施設への申し出があり、ようやく発覚するという構図。

 

 もしも本人が認知症だとしたら、事実を事実として取り上げてもらえなかったり、家族が把握していても、施設退去を恐れて泣き寝入りしているケースもあるだろう。

 

 身近に起こった施設の対応としては、以前受けたショートステイの受け入れ拒否について言及したい。

 

 入浴介助中に、父がいきなり噛みついたとか、ひっかいたとか、施設側の言い分はまるで被害者の口ぶりだった。

 

 担当した介護職員が誰であるかもひた隠し、どのような状況で発生したかについても、電話で簡単に説明して終わりだった。

 

 私に言わせれば、事業者としてあまりにお粗末である。

 

 私なら、家族を呼んで、事業所にて面談で説明の機会を作る。

 

 そして担当した介護職員も管理者も家族も本人も、ケアマネジャーもその他の介護サービス事業者も全員招集して、会議をする。

 

 所謂サービス担当者会議というやつだ。

 

 そうして、問題の原因や解決策について、皆で知恵を出し合う。

 

 それが本来の形であろう。

 

 しかし、あの事業者は一方的だった。

 

 誠に腹立たしく、今でも私は根に持っているぞ!(笑)

 

 そして今、今回のオムツ騒動。

 

 私が施設側に連絡した時、私は担当者個人を責めないで欲しい、そういう問題ではないと思うと話した。

 

 人は誰でも初めから、意地悪してやろうとか、嫌がらせしてやろうとか、そんな想いを抱いて仕事している訳ではないと私は信じている。

 

 厳しい言い方かもしれないが、ろくに仕事が出来ない介護職員でも、介護の仕事を選んだ時は、人の為になる仕事だからとか、誰かに感謝される仕事だから等と、自分なりに良い事をしようと思っての事だろう。

 

 でも人は弱い生き物だから、介護の世界に入ってみて、思うように仕事が出来なかったり、思うような給料がもらえなかったりと、嫌な事があって、それが自分で変えられないとなると、心がくさくさしてきて、そのはけ口として、弱い者にあたってしまうのだろう。

 

 虐めも同じ原理だ。

 

 だから今回のオムツ騒動については、担当者の真意が知りたかった。

 

 事業所の対応は、当事者の上司にあたるスタッフが二人謝罪に来て、画像を見て、後に電話があり、社内で情報共有し、担当した者も自分がいけなかったと反省しているとの報告を受けて終わりだった。

 

 違うな~。

 そうじゃない。

 

 誤って欲しい訳ではない。

 個人攻撃したい訳でもない。

 

 何故、その様な状況になってしまったかの原因究明が必要なのである。

 

 例えば、夜勤は二人体制で、この日は利用者が何人いて、時間的にこういう状況であったので、担当した者はこういう想いでやってしまったのだが、今後はこのように対策をしたので、もう2度と同じことは起こしません。

 

 というような具合に事業所としての対応策を報告しなければならない。

 

 それに、直接の担当者を明らかにしない事業所ばかりであるが、華桔梗では真逆である。

 

 令和3年4月にほぼ素人の新入社員が3人入ってきた当初は、当事業所でもミスが目立ち、利用者様から直接苦情が入る事があった。

 

 そんな時、華桔梗では必ず、原因究明を行う。

 

 そして対策を練り、その上で管理者と当事者が謝罪を行うのである。

 

 頭を下げるという行為は、気持ちの良いものではないだろう。

 

 しかし、その行為を当事者にさせないで何とする。

 

 利用者やその家族に対して、当事者に直接謝罪させるからこそ、その担当者は反省し、同じ行為を繰り返さなくなるのだ。

 

 繰り返す者は、嫌になってやめていく。

 

 それで良い。

 

 そうやって心を強く育てていかねば、介護の世界は良くならない。

 

 だって、介護って、本当に汗をかく大変な仕事だからね。

 

 今頑張っている皆、本当に偉いと思うよ。