こんにちは、がんチャレンジャーの花木です。

今日はちょっと新たな造語を思いつきましたので、ブログを書いてみます。

「マミートラック」という言葉があるのをご存知でしょうか。

これは、母親になった女性が産休や育休などから復職した際に、自分の意思とは関係なく職務内容や勤務時間が変わったり、その結果出世コースから外れていったりする事柄をさす言葉です。

マミー(mammy)は母、トラック(track)は陸上競技の周回コースのことを意味し、一度乗ってしまうと何周も同じコースをグルグル周り、抜け出せない働き方を表現しています。

また、対義語的に使われている「ファストトラック」(fast track)は出世コースを意味しています。


この「マミートラック」という言葉を聞き、「だとしたら『サバイバートラック』というものもあるのではないか」とふとひらめいたのです。

がん治療から復帰後、自分の意思とは無関係に職務内容や勤務時間が変わったり、その結果社内における出世コースから外れていったりする……。

まさに、私自身がそれに近い状況でした。

「マミートラック」は、復職後の女性が、幼子の対応のため、急に休んだり、帰ったりするリスクから、次のような状況が特徴として挙げられることが多いようです。

・急遽子どもに何かあっても現場が困らないように、軽作業や単調作業が割り当てられる
・上記につき、なかなか昇進・昇格のチャンスが掴みづらくなる
・結果、意欲のある社員のモチベーションが維持しにくくなる

これを「サバイバートラック」に当てはめるとこんな感じでしょうか。

・急遽体調不良になっても現場が困らないように、軽作業や単調作業が割り当てられる
・上記につき、なかなか昇進・昇格のチャンスが掴みづらくなる
・結果、意欲のある社員のモチベーションが維持しにくくなる

恐ろしいほど似ていますね……。

もちろん、長く両立していく上で、こうした環境を自ら望んでいる方であれば問題はないのですが、やはり本人の意思に関係なく、「マミートラック」に乗せられてしまうのは辛いことですし、それは「サバイバートラック」も同様ではないでしょうか。

一方で、「サバイバートラック」が、「マミートラック」と大きく異なるのは、がん罹患者は、社内に決して多くないため、会社も本人も対策が取りづらいということ。加えて、個々によって症状や後遺症なども様々だということ。

私の場合、300名程度の中規模の企業に勤めており、前例がほとんどありませんでした。ですから人事部としても都度個別対応せざるを得ないという事情がありました。

しかも、勤務先は、私の身体に対して、最大限の配慮をしてくれた上での結果なので、本来の「マミートラック」とは意味合いが異なるかもしれません。

それでもやはり、働く以上は、キャリアアップを目指していきたいと思っていたので、それが厳しい状況というのは、なかなかモチベーションの維持が難しかったですよね。

「働くお母さん」とは異なり、会社の中に同じ境遇の人もおらず、そういう意味での孤独感もありましたし

幸い、社外活動については法人設立や副業などを許可していただけたので、それが今の私のモチベーションにもなっています。ただ、私のように恵まれた勤務先に勤める方ばかりではないでしょう。

だからこそ、意図せぬ「サバイバートラック」が日本企業からなくなる日が来ることを願い、そのためにこの造語を広めてみたいと思っています。

※もし、「自分も『サバイバートラック』を経験した」という方がいらっしゃいましたら、ぜひお話を聞かせてください。

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(了)

【参考文献】