私ががん罹患後、いちサバイバーとして活動していく中で感じるのは、同じようにオープンに活動している方々は、罹患後比較的時間が経過しており、キャンサーギフトを自然な形で手に入れている方が多いような気がします。

そのような方々が社会に発信をし続けることで、あたかもがん罹患経験者はキャンサーギフトを手に入れることが当たり前のような印象を与えているのかもしれません

しかし、世の中の大多数のがん罹患経験者は、自身の病気のことを公にすることなく社会生活を営んでいますから、なかなかキャンサーロストの存在が世の中に伝わりづらいように思います。

今回、私がこのようなコンテンツを作ろうと思いついたのも、世の中にはこうした思いを抱いている方々がこうした思いに気づかれることなく暮らしているということを知ってもらい、さらには、同じような境遇のがん罹患経験者の方々に、「あなたの悩みは決してあなた一人だけが抱えているものではないですよ」ということを伝えたいと思ったことが動機になっています。

そして、今こうして読んでくださっている皆さんも、いずれこうした悩みを抱えることになるかもしれません。そのときはどうか、このような悩みを抱えているのは自分だけではないんだ、と思っていただけたら……とこの原稿を書きながら願っています。

(続く)