【2018年2月1日執筆】
こんにちは、花木裕介です。
突然ですが、皆様は「患者力」という言葉をご存知でしょうか。
明確な定義があるわけではないそうですが、とある文献によると、次のような知識や技術を身に付けていることが条件になっていることが多いとのことです。
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◎あふれる医療情報の中から最適なものを見極める力
◎自分の病気や病状のことを正確に理解する力
◎受けたい医療を受けられるように医療者と交渉する力
◎医療者と適切な信頼関係が構築できる力
◎人任せにせず積極的に医療に参加する力
◎自分が納得のいく医療を受ける力
◎自分の病気と向き合う力
◎自分の気持ちのコントロールができる力
【出典・朝日新聞デジタル
『「患者力」って知っていますか?』2016年8月16日
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僕がこの言葉を初めて聞いたのは、がん告知後、勤務先で信頼おける方に、今後の治療のことを相談していた際のことでした。
とはいえ、いきなり、「咽頭がんです」と現実を突きつけられても、それを自責で治そう、というだけの知識も自信も最初はありませんでした。
一つひとつ学び、行動することでしか身につけられませんしね。そして、今もこの力をできるだけ高められるよう意識をしています。
でも、振り返ってみて思うのが、この患者力は、何も病気になった人にだけ必要な力ではなく、今思えば健康なうちから養える力だなーとも思います。
例えばこんな感じです。
◯もし自分の身に不幸や不運が襲ってきても、しっかりとその現実を受け入れられる力。
◯その不幸や不運だと思う出来事から得られるポジティブな側面に目を向ける力。
◯不安なことがあれば、うやむやにせず、事実を正しく突き止める力。
◯知らないことを恥ずかしがらずに、知っている人に教えを乞う力。
◯自分の人生や結果を、人任せや他責にせず、自責で捉える力。
◯感情をコントロールし、他者とのwin-winな関係性を目指してコミュニケーションしていく力。
◯手を差し伸べてくれる周囲の人たちに常に感謝を忘れない力。
今僕が思い当たることとしては、こんな感じでしょうか。
もちろん僕自身が完璧にできているわけではありませんが、東日本大震災発生以降取り組んできた復興応援活動のおかげもあり、なんとなく患者力のベースとなる力のようなものは養っていたようにも思っています。
そして僕自身、社会復帰した暁には、今回身につけた患者力をベースに、さらに人間力を高めていきたいなーと思っています。
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最後に、患者力の中に挙げられていた「自分の病気や病状のことを正確に理解する力」のところで参考になればと、僕の経験談をお伝えします。
以下は、僕が12月に確定診断(中咽頭がん&頸部リンパ節転移)を受けた際、主治医に見せてもらった画像です(ちょっとリアルすぎるので公表は控えていましたが…)。
これは、PET-CTという検査の結果で、通常がんや炎症の病巣を調べたり、腫瘍の大きさや場所の特定、良性・悪性の区別、転移状況や治療効果の判定、再発の診断などに利用されているそうです。
黒くなっている3箇所(脳と鼻は除く)が、まさに今治療中のがんの部位です。
CTなどの画像検査では、通常、頭部、胸部、腹部などと部位を絞って検査を行いますが、PET検査では、全身を一度に調べることが出来ます(今回は、皆さんに部位が見えやすいよう、下半身はトリミングしています)。
妻と二人、この検査の結果を聞くのがとても怖かったのを今でも覚えています。
リンパ節転移は確実でしたが、さらに全身に転移していたらどうしよう……なんて夜も眠れませんでした。
でも、逃げ出すわけにはいかないんですよね。
結果、全身には転移していないという事実が分かり、僕は治療により前向きに取り組めるようになりました。
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「怖い、でも現実から逃げない」
簡単に言うと患者力ってそんな感じなのかもしれませんね。
明日からまた、副作用という現実から逃げずに僕も頑張ります!
では、今日はこのへんで。
(続く)
