子どもたちの真剣勝負にはいつも、ドラマがあります。

松岡少剣の参加した日曜日の春江大会でも、やはりそれらはありました。

 

その1、高学年団体戦準決勝、松岡少年剣道教室vs丸岡剣道スポーツ少年団

 

結果的に見て今大会、松岡少剣Aチームにとって一番厳しかった試合が、

この丸岡スポーツ少年団さんとの試合でした。


勝負は大将戦にもつれ込みます。
 

そこまで先鋒から4試合を終えて一勝一敗、二引き分け、獲得本数は松岡3本、

丸岡2本、勝負のかかった痺れる大将戦・・・、松岡は兄弟エースの一人、H・M君、

https://ameblo.jp/hanakendo/entry-12199657134.html
そして、丸岡の大将は、・・・S・N君。
https://ameblo.jp/hanakendo/entry-12260403171.html

普段、丸岡のキャプテンとしてチームを引っ張りながらも、より多くの稽古機会を求めて

この春、松岡にやって来た、松岡錬成会では共にチームを組み、合宿では同じ釜の飯を

食べて汗を流し、僕から見ればこの試合、大将二人とも松岡の子。

応援、出来ない・・・。

これは松岡側は特にそうだったと思います。どちらも勝たせてあげたい。

どちらの努力も知っています。稽古での二人の頑張りをずっと見て来ました。

ああ、試合が始まってしまった。

実力者二人の、真っ向からの真剣勝負。

 

結果は・・・、拮抗したままの、引き分け。

当然、二人にはそれまでのスコアが頭に入っていたはずです。

松岡は、負けなければいい、丸岡は、とにかく勝たねばならなかった。
終了ブザーが鳴った瞬間、ゆっくりと仰ぐように宙を見上げたN君。

 

最終スコアは、一勝一敗三引き分け、獲得本数松岡3、丸岡2、

僅差、一本・・・。

この話はその3、に続きます。


 

その2、双子のM兄弟

松岡少剣のエース、双子のM兄弟も実は、福井県立武道館の武道学園チームに

所属しながらも、さらなる稽古機会を求めて松岡にやって来た二人です。

 

とにかく稽古をする二人。丸岡のS・N君もそうですが、週4・週5で稽古をし、

土日は各地の大会に出場、逆にこの彼らが弱いわけがない(笑)。

春江大会午後の高学年個人戦、49人のエントリー、H・M君は左のブロックを

どんどんと勝ち上がり(三回戦ではまたもS・N君と・・・!)準決勝へ、

そして、T・M君も右のブロックをどんどん勝ち上がり同じく逆の準決勝へ・・・。

 

おいおい、決勝は松岡の双子対決か?
会場もどこかざわついて見えます。

試合は右ブロックのT・M君の試合がひとつ隔てた試合場で、やや先に始まりました。
松岡の応援陣も二手に分かれて待機。

 

あ!T・M君が先に一本を取ったぞ!

 

おそらく、その瞬間をH・M君も見ていたと思います。

当然、闘志に火が点いたはず。

 

試合開始、猛攻!!

 

しかし、しかし、試合終了間近に一瞬の隙をつかれお相手に一本を奪われ・・・。

 

その瞬間の、竹刀の剣先を床に落とし、全身から悔しさがにじみ出るようなうなだれ方・・・。

 

そのまま試合、無念の終了・・・。

 

泣き崩れるH・M君の肩を労わるように抱いたのは、観戦に来られていた

おじいさま。よく頑張ったじゃないか!という風にそっと隣りに座り・・・。

 

決勝戦の結果は、昨日書かせて頂いた通り。

 

M兄弟は、強い。涙を流すほどまでに、いつもそのまま剣道に向き合っているから。


その3、K監督先生

大会が明けて、月曜日の松岡少年剣道教室、稽古終了後。

「昨日の大会、高学年Aチーム以外の人、集まりなさい。」

 

K監督先生が子どもたちを集めます。

 

そして、なんと、試合に負けた一人一人にそれぞれその日のポイントを

伝え始めたのです(!)。審判もされながら、一体いつ見ていたのかと一緒に

聞いていた僕もびっくり。

 

「先生も経験あるけれど、勝って嬉しいのは、勝ったチームの人間だけだ。

その中に自分が入っていなければ、やっぱり悔しい。そうじゃないか?」

とニコリ。

「もちろん、松岡の優勝は嬉しいけれど、みんなも稽古して、そこに入れるように、

次は自分が入れるように、頑張りなさい。」

 

勝った子には当然、大会その日に喜びを伝え、そして次の日にはむしろ

勝てなかった子たちにちゃんと目を届かせる。

「指導者」の姿がそこにありました。

「Bチームの大将、お前、自分のあの試合、引き分けでも良かったやろ?それで

チームは勝ってたんや。大将は大将らしく、戦わなければいけない。N君、そうやな?」

 

丸岡の大将として、立派に戦っていたぞ。ちゃんと見ていたぞ。

 

今日もまた、丸岡からの出稽古として参加していたS・N君に、K監督先生は

微笑みながら最後にそう声をかけたのでした。