昨年頃から旧街道歩きを始め、今年の春から江戸五街道を歩き始めました。日光街道、奥州街道、甲州街道と歩いて、梅雨明け頃から東海道を歩いています。途中、猛暑の時期に一時中断し9月に再開したばかりですが、先週、やっと、中間地点に当たる袋井宿まで辿りつきました。


この機会に、私の街道作法なるものをまとめてみました。一言でいえば、「いい加減に歩く」ということにつきます。ですから「作法」と言うほど大層な内容ではなく、役にも立たず、ためにもなりません。知っていただきたいのは、「こんなにいい加減に歩いても街道は歩ける」ということです。
(なお、私のように「いい加減」でなく、きっちり歩いている街道ウォーカーの方々が大半で、そのほうが百倍も千倍も素晴らしいことは言うまでもありません。誤解なきよう。)


1.持ち物


① 基本


 とにかく軽く、がモットーです。あれも必要、これもあったほうがいいと考えると荷物が重くなります。基本は、マップ、ガラケー(充電器含む。)、財布の三点です。夏は、これにタオルが加わります。あれもこれもと持っていくと、30キロの街道歩きにはジワジワ響いてきて憂鬱になってくると思うからです。ほかのものは必要ならば大抵コンビニで現地調達できます。


② バッグ


ナップサック、デイバッグ的なもの(両肩と背中で担ぐ形のもの)は街道歩きには使いません。背中が蒸れて痒くなるからです。小さなショルダーを使っています。三平ストア で買った880円のヤツです。荷物が少ないので小さなもので十分です。


③ 雨具


基本的に持っていきません。前提として、天気予報の降水確率が50%を超えていれば街道歩きは中止します(40~49%の時は迷いますね。)。それでも急に雨が降ることがあります。降るかも、と感じたら、最寄のコンビニで急遽ビニール傘を調達します。レインコートはいくら通気性がいいものでも歩きにくいし、蒸れます。1時間~2時間ならいいですが、一日中着て歩くものではないと思います。


折り畳み傘はバッグに入れるとかさばります。使いもしないものを万一に備えるというだけで何時間も持って歩くのはいやです。それに折り畳みは風に弱いです。雨にはビニール傘が一番です。見通しがききます。近くにコンビニがなければ・・・・その時はあきらめるしかありませんが、今のところ、そのような不幸には遭遇していません。やはり、怪しい天気の時は避けるのが一番です。


④ デジカメ


街道歩きには、持っていきません。小さくてもかさばるからです。私には、きれいな写真は必要ありません。美しい画像なら、諸先輩の街道ウォーカーの方々がたくさんアップしてくれています。これ以上の写真を撮る実力は私にはありません。私に必要なのは確かにここに来たぞ、という記録だけです。多少ピンボケでもなんとなく写っていれば満足です。人に見せるのが主目的ではありません(需要もありません。)。したがって、ガラケーのカメラで十分です。


⑤ シューズ


 シューズにもあまりこだわりはありません。今は、あまり深く考えずに、店頭の割引セールで安く買ったものを履いています。ただし、こればっかりは、多少こだわったほうがいいのではないかと最近思い始めています。一日中歩くと、さすがに足の裏が痛くなってきます。いい靴なら痛くならないものなのでしょうか。でも、どんなのがいいのかよくわかりません。相当違うものなのでしょうか。一度試してみたいのですが、い金を払う勇気がなかなか出てきません。


⑥ 靴下


 これも、ほとんどこだわりがありません。百均か、5足千円とかの安物を履いています。そのせいかどうかわかりませんが、すぐ穴があきます。これを安物買いの銭失いとでも言うのでしょう。靴下も、厚手のウォーキング専用のものを履けば、随分違うという話をよく聞きます。これも一度試してみたいものです。


⑦ ウェア


 これこそ、なんのこだわりもありません。街道歩きをしていると、いかにも街道を歩いている、という風体の方々をお見かけしますが、私の場合は、そのへんにパチンコにいくおっちゃんと区別のつかないような汚いカッコで歩いています。それでも街道歩きはできます。たぶん傍から見ると、街道歩きをしているようには見えないと思いますが、たまにマップに目を落としているので、もしや、と気づかれるかもしれません。これも、もう少し考えたほうがよいのかもしれません。


⑧ 宿泊セット


宿泊で歩くときには、最低限の準備として、靴下、下着をもっていきます。歯ブラシ、カミソリなどは宿泊施設のもので十分です。置いていないところなど、まず、ありません。


⑨ 歩数計


持っていきません。前は、何歩歩いたか気になったので、しょっちゅう歩数を確認しながら歩いていましたが、今では、だいたいどのくらい歩けば歩数はだいだいこのくらい、というのがわかるようになってきたので、いちいち計る必要性を感じなくなってきたからです。


⑩マップ


マップについては別に記事を書きました。 → コチラ


2.街道歩きのこだわり


そもそも、いい加減に歩いているだけなので、あまりこだわりはありません。とにかくブァーっと歩いてみよう、ということだけです。ただ、せっかく旧街道を歩こうとしているのですから、次のようなことは、ある程度気にして歩いています。


①  わかる範囲内で、忠実に旧道をトレースする。


「わかる範囲内」というところがミソです。「確かに旧道か」というのは、自力で調査したわけでもなんでもなく、マップと先輩ウォーカーのブログを疑いもなく信じて歩くだけのことです。それでも迷道することがありますが、すぐ迂回して復帰するような短い部分であればあまり気にしません。ただし、大きく迷道して、見るべきポイントの多くを見逃したような場合には、結構、後悔します。そして、その部分は、必ず(後日にでも)歩き直そうと考えます。


② 最低限のポイントは抑える。


「最低限のポイント」と言っても千差万別、人それぞれです。複数のブログに個別に書かれているポイントをすべからく確認しようとすれば、いくら時間があっても足りません。そこで、最低限、多くの先輩ウォーカーのブログに共通して書かれているようなポイントは抑えるようにしています。具体的には、誰しもが確認する一里塚跡、本陣・脇本陣跡、問屋場跡、老舗の店舗、石塔石仏などです。個人的には、青面金剛が彫られた庚申塔などは興味があります。


これらのポイントを見逃すこともままあります。しかし、そのポイントのある旧道を歩いたことには間違いがないのですから、少々の見逃しは仕方ないと、いい加減にあきらめます。


いくらキョロキョロ気にしながら歩いていても、民家側にあると思い込んでいたら車道側にあったとか、車道の左側ではなく反対の右側だったとか、民家のブロック塀に挟まれた死角にあったなどということは、よくあることです。


③ 名所・旧跡、神社・仏閣には長時間をかけない


街道沿いには、観光スポットにもなるような名所・旧跡があります。一見の価値があるものです。ですから「一見」はしますが、根掘り葉掘り観察するようなことはしません。


時間をかけて見てみたいと思うこともあります。しかし、それほど見たいところなら、それを見ることを目的として、もう一度、そこに訪れてじっくり観たほうがいい、というのが私の考えです。街道歩きのついでに観るには限界があります。


神社でも柏手(かしわで)パンパンなどのお参りはしますが、それ以上の観察を細かにやっていたのでは、先に進まなくなります。重文級の仏像があるお寺には、つい寄ってみたくなりますが、そうこうしていると30分やそこらはすぐ経ってしまいます。そういう見どころのあるところには、ピンポイントでまた来ればよいのです。結果的に、再訪する機会がなかったとしたら、それは、それほど観たいところではなかったということです。


そうはいっても矢も楯もたまらず、つい見入って長居をすることもありますが、それは、その時の欲求ですからいたしかたありません。


3.食事


  私は、小さいときから、食へのこだわりはあまりありません。喰えればいい、という人生を送ってきています(←ビンボー!)。名物の類も、どうしても食べてみたいというほどの欲求はありません。たまに口にすることはありますが、どれもそれほど抜きんでて美味しくてたまらない、というほどのことはないように思います。


もともとが味音痴で、微妙な相違はわかりません。吉野家、松屋、すき家やコンビニがあれば十分です。これらのチェーン店なら、早いし、どこに行っても味も一定です。がっかりすることもありません。繁盛しているお店に入ろうものなら、どのくらい待たされるかわかりません。待たされたあげく不味ければショックも大きいことでしょう。


街道歩きの最中に豪華な食事をする必要もありません。ゆっくり土地のものを味わいたいなら、別の機会はあります。そういうわけで、いつもテキトーにすませます。ただし、団子とか食べ歩きができるものは、たまに買って食べながら歩いたりします。


4.ブログ


 今年の春頃から、街道歩きの記録をブログに残すことにしました。ネットを検索すれば、多くの先輩ウォーカーがブログを残しています。東海道だけでも何百というブログが書かれているのではないでしょうか。これらのブログは、いずれも素晴らしいものです。宿の歴史や、名所・旧跡などを詳しく説明したもの、ルートの説明が正確かつ詳細なもの等々、もはやこれだけのブログがあるのなら、新しいブログの需要はないようにも思えます。


それなのに何故ブログを書いているかというと、やはり、ただ歩いたというだけではなく、確かに歩いたという実感をどこかに残しておきたい、というささやかな欲求があるからです。


私の場合、ブログの内容も実にいい加減で、どこを通って、どこに行った、というだけの無味乾燥なものです(歩いている内容自体がいい加減だからね。)。しかも、ほとんどがツイッターでつぶやいた記録をコピペしただけです。詳しい説明もなければ綺麗な写真もありません。歩行ルートの地図も載せていません。


個人的な感想もほとんど書いていません。これらは、諸先輩の方々の素晴らしいブログを開けば見ることができるし、私にそれ以上の内容が書けるわけもないからです。


したがって、他人様にお見せできるような内容ではないこと、需要などないことは、十分すぎるほど自覚していますが、私自身にとっては、確かにこのように歩いた、という真実の記録になります。それに、万が一にでも、このブログを見て街道ウォークに興味を持つ人が出てくる可能性が全くないというわけでもありません(まあ、ないと思うけどね)。


というようなわけで、飽きもせず、面白くもなんともないブログを今日も書き続ける私です。