山の上の家事学校

近藤史恵 中央公論新社 2024年3月


 

 

離婚して一年。荒んだ生活を送っていた幸彦は、ある「学校」を紹介される。そこには様々な事情を抱える生徒たちが通っていた――。




家事とは、やらなければ生活の質が下がったり、健康状態や社会生活に少しずつ問題が出たりするのに、賃金が発生しない仕事、すべてのこと〉


家事は、することが多く、時間がかかるし、重労働なわりに、評価されることは少ない。


家事を教えてくれるこんな学校があれば、いいと思う。


家事に対する考え方も教えているところがよい。


しかし、ここで習ったからといって、家庭に戻った時、それを実行できるかは疑問だけど……



幸彦は、家事学校に通い、これまでのことを反省し、生活習慣を変える。

まだまだだけど、前向きになれたことはよかったと思う。


家事学校での白木や猿渡のエピソードも興味深かった。



お気に入り度⭐⭐⭐

午前零時の評議室

衣刀信吾 光文社 2025年3月



 

 

法廷×デスゲーム×本格ミステリ! 第28回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。

大学生の実帆に届いた裁判員選任の案内状。事前オリエンテーションとして呼び出された裁判員たちに異例の事態が訪れる。一方、事件を担当する弁護士の羽水は検察のストーリーに疑問を抱き、見逃された謎に着目する。被害者の靴下が片方だけ持ち去られたのはなぜか? それを元に事件の洗い直しを始めるが……。伏線だらけのタイムリミット脱出劇。





有罪か無罪か、集められた裁判員たちは、隔離された空間で、全員一致で正確を出さないと爆発するという状況。

ここから、脱出できるのか?


 二転三転する展開は、先が気になって、次を読まずにはいられない。


たくさんの伏線がちりばめられていて、それがうまく回収されている。


裁判員制度に関すること、 一事不再理など、弁護士である作者ならでは、裁判など司法に関することが詳しく丁寧に描かれている。


私に真相がわかるはずもなく、そういうことなのねと、面白く読むことができた。


お気に入り度⭐⭐⭐⭐





アトムの心臓

「ディア-ファミリー 」23年間の記憶

清武英利 文春文庫 2024年4月



 

 

【映画「ディア・ファミリー」原作】

娘の心臓に残された時間はたった10年――。運命に抗った家族の愛の物語。

生まれながらに心臓に疾患を持っていた娘は、医師から余命10年を宣告される。
何もしなければ、死を待つだけの10年。これを運命だと諦めるか、抗うか。

町工場を営む筒井宣政は、家族と共に「人工心臓をつくり、娘の命を救うという不可能」に挑むことを決意する。

筒井夫婦は人工心臓開発のための知見を集めるべく、日本のトップクラスの研究者が集う研究会や大学病院を訪ね歩き、東海メディカルプロダクツを設立。徐々に希望の光が見えてきたのだが――。

絶対に諦めない家族の途轍もない挑戦を描いた、実話をもとにした感動のノンフィクション。





映画は見てないのだが、原作を 読んでみた。


 父の町工場で働き始めた宣政は、多くの借金があることを知る。

筒井の二女の佳美は、生まれながら、心臓に疾患があった。

父の借金を返すため、佳美の治療費用のため、宣政は単身アフリカに行く。

町工場の知恵を活かして工夫を重ね、頭髪をくくるひもを開発し、それを売るためだ。

カタコトの英語しか話せないのに、アフリカに乗り込んでいく宣政は度胸がある人だ。


そうやってお金を稼いだけれど、医者は、手術できないという。


妻の陽子は、佳美が手術できないなら、佳美のような子どもの治療を研究する施設へ寄付しようと言う。


ここから、新しい道が開けていく。


難しい医学の知識を得るために努力を惜しまない。

佳美のため、家族のためと奮闘する姿が半端ない。

全然 違う医学という分野に挑戦する心意気がすごいと思う。



佳美は、病気持ちで長く生きられなかったが、長女の奈美、三女の寿美とは仲のいい姉妹だったし、愛情たっぷりの家族に囲まれて幸せだったと思う。


お気に入り度⭐⭐⭐⭐⭐



彼女が最後に見たものは

まさきとしか 小学館文庫 2021年12月



 


クリスマスイブの夜、新宿区の空きビルの一階で女性の遺体が発見された。五十代と思われる女性の着衣は乱れ、身元は不明。警視庁捜査一課の三ツ矢秀平と戸塚警察署の田所岳斗は再びコンビを組み、捜査に当たる。
そして、女性の指紋が、千葉県で男性が刺殺された未解決事件の現場で採取された指紋と一致。名前は松波郁子、ホームレスだったことが判明する。
予想外の接点で繋がる二つの不可解な事件の真相とは――!?

彼女はなぜ殺されなければならなかったのか。
彼女はなぜホームレスになったのか。
誰も知らない真実が明らかになる瞬間、世界が一転する。




あの日、君は何をした

続編。


新宿で見つかった50代のホームレスの女性の死と、千葉県の未解決の男性の刺殺事件。

このふたつに関連があるのか?


それぞれの憎悪、嫉妬、不安、後悔など、さまざまな負の感情がぶつかりあう。

その中にあつても、思いやりのある人がいた。


登場人物がたくさんいたけれど、みんなが何らか、関係していた。

ここでこうつながるのか。

こういう展開だったとは!



三ツ矢刑事は、わからないことは知りたいという思いから、独自のやり方で捜査する。瞬間記憶という特技も持ち合わせているため、犯人にたどり着く。


新人の相棒-田所は、何も知らされてないから、信用されてないと疑う。

この田所の心の声にクスッと笑える。


三ツ矢は自分の世界に入りこむとまわりが見えないのだろうな。

有能な三ツ矢も、尾行されてても気づかない所などがあり、憎めない。


三ツ矢と田所のコンビの活躍を、これからも、みたい。




お気に入り度⭐⭐⭐⭐

君たちはどう生きるか

原作・脚本・監督:宮﨑 駿


声出演
眞人:山時聡真
青サギ/サギ男:菅田将暉
キリコ:柴咲コウ
ヒミ:あいみょん
夏子:木村佳乃
勝一:木村拓哉
いずみ:竹下景子
うたこ:風吹ジュン
えりこ:阿川佐和子
ワラワラ:滝沢カレン
あいこ:大竹しのぶ
インコ大王:國村 隼
老ペリカン:小林 薫
大伯父:火野正平





 

世界中で大ヒット、待望の劇場最新作
宮﨑駿監督が描く黙示録





あらすじは書かない方がいいのか?

ネタバレしないように書くと……



眞人は、決して幸せとはいえない、生きにくい世の中にいた。

おばさんを探して行くうち、不思議な世界に紛れ込んでしまう。


眞人はおばさんに会えるのか?

元の世界に戻れるのか?

それとも、この世界で生きていくのか?



題名から、むつかしい話かと心配したが、

今までのジブリ作品に登場するような不思議な生きものたちが楽しく、映像美が素晴らしく、ファンタジーの世界を堪能できた。


アオサギがいい味出してた。


感じ方はいろいろだろうが、私はこのラスト好きだ。


声の出演、豪華なメンバーだこと!


お気に入り度⭐⭐⭐⭐

君はどう生きるか

鴻上尚史 講談社 2024年6月



 

 

いままで、「大切な人と深くつながるために」「いじめられている君へ」「親の期待に応えなくていい」など、折にふれ10代に向けて多くのメッセージを発信してきた著者が贈る「今の10代に向けた生きるヒント」。
現代は「君たち」ではなく、一人ひとりがそれぞれ違う「君」の時代。
この楽しくもしんどい多様性の時代に必要なのは、違う人と協働するための技術、そして自分の頭で考えるということ。
そのためのアドバイスが満載。

1 コミュニケーションについて
2 「考えること」について
3 スマホについて
4 自信を持つためには
5 友達について
6 ルッキズムについて
7 いじめについて
8 大人について
9 なんのために生きるか





こんな題名の映画があったなと題名に惹かれて手にとった。



「君たちはどう生きるか」ではなく「君はどう生きるか」

時代は「協調性」から、「多様性」にゆっくりと移っている。

ひとりひとり違うことを前提にして「協働」することが必要。

そう書かれている「はじめに」を読んで、とても興味を持った。



コミュニケーション、スマホ、友だち、いじめ……

いろいろな問題を例を挙げて説明されているのでわかりやすい。



どう生きるかの答えは、幸せを求める。その幸せは自分で決める。

その幸せを求める方法がこの本いっぱいに書かれていた。


主に中高生に向けたメッセージではあるが、子どもを持つ親として、また、孫を持つ祖父母として、子どもの幸せを願う大人にとっても、考えさせる内容だった。


お気に入り度⭐⭐⭐⭐⭐

あの日君は何をした

まさきとしか 小学館文庫 2020年7月


 

 

北関東の前林市で平凡な主婦として幸せに暮らしていた水野いづみの生活は、息子の大樹が連続殺人事件の容疑者に間違われて事故死したことによって、一変する。深夜に家を抜け出し、自転車に乗っていた大樹は、何をしようとしていたのか――。
15年後、新宿区で若い女性が殺害され、重要参考人である不倫相手の百井辰彦が行方不明に。無関心に見える妻の野々子に苛立ちながら、母親の智恵は、必死で辰彦を探し出そうとする。
刑事の三ッ矢と田所が捜査を進めるうちに、無関係に見える二つの事件をつなぐ鍵が明らかになる。




せな家庭だったのに、息子が死んでしまって、心を病んでしまった母親。崩壊した家族。
あの日 夜遅く大樹は何をしたのか?

最初の出来事と15年後の殺人事件がどうつながるのかと思って読んでいったが、さっぱりわからなかった。
最後につながった時には、おおーと思ったけど、苦しい結末。

人には言えない秘密を抱えているのも苦しいことだろうな。


三ツ矢という変わり者の刑事が登場。田所とのコンビにこれからも期待したい。




お気に入り度⭐⭐⭐


ダブルマザー

辻堂ゆめ 幻冬舎 2024年9月



 

 


うだるような真夏日、ひとりの女性が駅のホームに飛び込んだ。そこに、なぜか母親を名乗る二人の女性が現れる。
性格も家庭環境も全く異なる二人の共通点はただひとつ。娘のことを何も知らない。
死んだのは自分の娘なのか。なぜ、死んだのか。違うなら自分の娘はどこにいるのか。二人の母親は、娘たちの軌跡を辿り始める。




飛び込み自殺をしたのは鈴か?詩音か?


鈴の母親、シェアハウスで暮らす、だらしない温子。
詩音のの母親、豪邸に住む、プライドの高い由里枝。

お互い、相手のことを嫌っていた温子と由里枝だが、娘の軌跡をたどるため協力する。
そのうち、自分のいたらなさを自覚し、ふたりに共感が生まれるというストーリーは、それぞれの母の気持ちが丁寧に描かれていて、さすがだと思う。

その後に描かれる真実は、途中くらいから、だいたい見当はついたが、実際にはありえない内容。
小説としては面白かった。



お気に入り度⭐⭐⭐⭐

転職の魔王様3.0

額賀澪 PHP文芸文庫 2025年2月



 

 

「転職の魔王様」の異名を持つ毒舌敏腕な先輩来栖のもとを離れ、千晴がキャリアアドバイザーとして独り立ちすべく、大阪に転勤して一年。
彼女は、“便利屋的に異動を繰り返させられる”、“会社がホワイトすぎる”“新入社員が優遇されすぎ”といった転職希望者の相談に乗っていた。
そんな折、東京の来栖の前に、彼を本気にさせる“因縁の求職者”が現れて――。






転職の魔王様」

転職の魔王様2.0」

に続く第三弾


東京と大阪、姉妹で転職希望

何度も転職を繰り返す不動産会社の転職希望

ぬるい会社はいやだと新入社員の転職希望

結婚したいという理由で転職希望


転職相談というより、人生相談になってる。


今の会社の中での見直しを提案したりして、転職を思いとどまらせる。


 相談自体は無料で、企業に就職した時に、その手数料をもらえる仕組み。

シェパード・キャリアの利益にならないに、それでいいのかと思ってしまうほど。


転職志望者の本音を聞き出し、その人にとってなにが一番いいのかを考えさせる。



昔と違って働き方が変わってきた。定時退社は当たり前。少しのことで、セクハラ、パワハラと騒がれる。

転職するのは普通になった時代。

働くことの意味についても考えさせられる小説だ。


未谷の元上司や母親まで、相談に現れて……

来栖はどう対処するのか?



来栖と未谷のこと、ふふふー


お気に入り度⭐⭐⭐⭐⭐

転職の魔王様2,0

額賀澪 PHP文芸文庫 2023年7月




 

 

転職エージェント《シェパード・キャリア》での見習い期間も終わり、キャリアアドバイザーとして働き始めた千晴。「転職の魔王様」と呼ばれる、毒舌で大胆不敵な先輩・来栖とともに仕事に奮闘していた。ある日、職場に天間という男が転職してくる。優しく丁寧に求職者と接する「天使」のような天間を見て、千晴は「魔王様」との違いに戸惑うが……。




転職の魔王様30」を手にとって、1から読もうと思ったが、貸し出し中でなかったのでこの作品から読んだ

ドラマ化されたのを見ていたので、来栖嵐は成田凌、未谷千晴は小芝風花のイメージでの読書。



「なんか嫌」という転職理由の女性。

何度も転職を繰り返す住宅販売会社の社員。

転職して4か月後に会社を退職したいという製薬会社で働く真面目な女性。


など、さまざまな転職志望者が……


未谷は来栖の指導のもと、CAとして転職志望者と向き合っている。


来栖は、有能で、言うことは正論だけど、言い方が厳しすぎ。

天間のやり方は来栖と真逆だけど、求職者のためにという思いは同じ。



本音を聞き出すのはむつかしいが、転職志望者にとってなにが一番いいのかをアドバイスする姿がよい。



来栖の元同僚が現れて、来栖の様子が変? 来栖が転職?


来栖と未谷の関係に進展?


働くとはどういうことか。

自分にとって仕事とは?

いろいろ考えさせる小説でもある。


お気に入り度⭐⭐⭐⭐