エピクロスの処方箋
夏川草介 水鈴社 2025年10月
大学病院で数々の難手術を成功させ、将来を嘱望されながらも、母を亡くし一人になった甥のために地域病院で働く内科医の雄町哲郎。
ある日、哲郎の力量に惚れ込む大学准教授の花垣から、難しい症例が持ち込まれた。
患者は82歳の老人。
それは、かつて哲郎が激怒させた大学病院の絶対権力者・飛良泉寅彦教授の父親だったーー。
の続編
雄町哲郎(マチ先生)は、風変わりな人物で甘いものが大好き。
手術の腕はいいが、甥の龍之介と暮らすため、大学病院から離れ、今は原田病院で働き、地域医療に貢献している。
死をどう受け入れるのか。
幸福とは何かを
考え続けているマチ先生。
彼の目指す医療とは?
最近の医師は残業や休日出勤を嫌がる。医師が増えているのに内科と外科の医師は不足している。
それも現実なのだ。
病気と共に、人と対峙しているマチ先生の姿がよかった。
甥の龍之介くん、中学一年生になり、ずいぶんしっかりしてきた。
時には、哲郎の保護者のよう?
花垣との信頼関係、家族ぐるみの付き合いがいい。
研究生の南とのこれからも気になるところ。
心に残ったマチ先生の言葉があったので、書き留めておく。
〈生きていくことの哀しみを知っている人間は、理由などなくても、誰かの力になりたいと思うものですよ〉p54
〈世の中には、治せない病気が山のようにある。けれども癒やせない哀しみはない〉p85
〈君や、君の家族の努力が足りなかったから、お父さんの病気の発見が遅れたわけじゃない。誰かの努力によって変えられるほど、世界中は脆弱ではないんだ。だけどその理不尽で強固な世界の中でも、我々にできることはたくさんある。降り続く雨を止めることはできないが、傘をさすことはできる……}p222
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