二人目の私が夜歩く

辻堂ゆめ 中央公論新社 2024年4月



 



昼と夜で、一つの身体を共有する茜と咲子。
しかし「昼」が終わりを告げたとき、予想だにしなかった「夜」の真相が明かされる――。


10代の頃、交通事故で、重い障害を負った咲子の「おはなしボランティア」として話し相手をすることになった高校生の茜。

初対面の人と話すのが得意ではない茜だったが、咲子と話をするうちに咲子に傾倒していく。


咲子のために、自分 の体力が奪われてもいいと思う茜がいじらしかった。


この昼の話は、咲子は、重い障害にもかかわらず前向きで、茜は、咲子との交流で明るくなっていくという明るい話。



ところが夜の話になると、人の悪の部分が見えてくる。

人には、よい面と悪い面の両方を持ち合わせている。

想像もできないような悩みを抱えていることもある。


切なくなる話だ。




今までのちょっとした違和感から、事実にたどりつくのは、さすが、辻堂作品だと思った。



少しの行き違いから交流が絶えてしまうのは悲しいこと。

今からでも勘違い だったことがわかるといいな。


悲しい出来事もあったけれど、

茜は前向きになれてよかったと思う。


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