水を縫う
寺地はるな 集英社 2020年5月
松岡清澄、高校一年生。一歳の頃に父と母が離婚し、祖母と、市役所勤めの母と、結婚を控えた姉の水青との四人暮らし。
学校で手芸好きをからかわれ、周囲から浮いている清澄は、かわいいものや華やかな場が苦手な姉のため、ウェディングドレスを手作りすると宣言するが――「みなも」
いつまでも父親になれない夫と離婚し、必死に生きてきたけれど、息子の清澄は扱いづらくなるばかり。そんな時、母が教えてくれた、子育てに大切な「失敗する権利」とは――「愛の泉」ほか全六章。
世の中の〈普通〉を踏み越えていく、清々しい家族小説。
男なのに、刺繍が好き。
女なのに、かわいいものが苦手。
男だから、こうあるべき
女だから、こうあるべき
嫁だから、こうあるべき
年寄りだから、こうあるべき
こういった固定観念が、今もはびこっている。
しかし、もっと自由なのだとこの物語は語っている。
高校生の清澄、その姉で結婚を控えた水青、母親のさつ子、祖母の文枝、母親と離婚した父親の全、全といっしょに 暮らす黒田。
どこか ‘普通’ではない人たち。
しかし、皆、懸命に行きてきたのを感じる。
姉のウエディングドレスを弟が作ることから 、家族がつながっていくのがよかった。
姉のウエディングドレス姿、ステキ だろうな。
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