どうしようもなくさみしい夜に

千加野あい 新潮社 2023年5月





高校入学を一週間後に控えたある日、これまでセックスワークで生計を立て、ひとりで僕を育ててきてくれた母が、突然「結婚したい」と言い出した。僕は思わず、中学のときに、元風俗嬢と噂されていた先生のもとへ向かうが……(「今はまだ言えない」)。
肌を合わせることは、ときに切実で、ときにかなしく、ときに人を救うのかもしれない。
夜の仕事と、その周辺の人々をリアルに描き出す、「R18文学賞」受賞作家の鮮烈なデビュー作。



 風俗嬢の息子。そのことを暴露した同級生。風俗嬢。……

と主観 が変わり、物語が続いていく。


風俗嬢というと世間の目は冷たい。

その女性たちも、必至に働いている人もいるとわかっても、素直に受け入れることはむつかしい。


しかし、さみしさを抱えているのは、同じなのだと感じる。


妊娠し、とても喜んでいる風俗嬢 。

ひとりで育てることはむつかしいと説得する元教師。

先生はいっしょに喜んでくれると思ったという風俗嬢の気持ちに、複雑な気持ちになった。



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