クロコダイル-ティアーズ

雫井脩介 文藝春秋 2022年9月


 




 大正時代から続く陶磁器店を営む熟年の貞彦・暁美夫婦は、近くに住む息子夫婦や孫と幸せに暮らしていた。ところが、息子が何者かによって殺害されてしまう。 犯人は、息子の妻・想代子の元交際相手。被告となった男は、裁判で「想代子から『夫殺し』を依頼された」と主張する。 息子を失った暁美は悲しみに暮れていた。遺体と対面したときに、「嘘泣き」をしていた、という周囲の声が耳に届いたこともあり、想代子を疑う。貞彦は、孫・那由太を陶磁器店の跡継ぎにという願いもあり、母親である想代子を信じたいと願うが……。 犯人のたった一言で、家族の間には疑心暗鬼の闇が広がっていく。 殺人事件に揺れる一家を襲う悲劇。姑である暁美からみて、「何を考えているか分からない」という想代子の真実とは。



夫康平の殺害に想代子は関係しているのか?


想代子を信じたい舅の貞彦。

想代子を信じられない姑の暁美。

家族の中で渦巻く疑心暗鬼。


暁美の姉東子もこの家族の問題に入り込んできて、余計ややこしくなる。


そして、陶器の破損問題や土地売却の問題も絡んでくる。


ずっと不穏な空気が漂っている。

疑う気持ちと信じたい気持ち、それぞれの感情を 巧妙に描いている。


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