勿忘草をさがして

真紀涼介 東京創元社 2023年3月





 

 


一年前、偶然出会ったおばあさんに会いたい。しかし手掛かりは、庭に沈丁花が生えていることと、その庭で交わした会話だけ――。トラブルにより部活を辞め無気力な日々を送る航大が、一年前の記憶を頼りにある家を探していたところ出会ったのは、美しい庭を手入れする不愛想な青年拓海だった。拓海は植物への深い造詣と誠実な心で、航大を導いていく。植物と謎を通して周囲の人間関係を見つめなおす、優しさに満ちた連作ミステリ。第32回鮎川哲也賞優秀賞受賞作 



の木のことを「男の子」というお婆さん。

校舎から次々に消えていく鉢植え。

花壇の花たちが元気がないわけとは。

ツタで覆われている小屋からどのように草刈り機を出したのか。

地面から紙風船が生えてたと言う幼稚園児。

毎年祖父の命日近くに届く差出人不明の押し花の栞…


日常の謎を解いていく、こういう話、好き。


主人公の高校生の航大は、サッカー部を辞め、無気力な毎日を過ごしている。


そんな航大が、偶然出会った大学生の拓海や彼のお婆さん、同級生らと関わることにより、成長していく物語でもある。


相手の気持ちを思いやる優しいお話だった。


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