汝、星のごとく

凪良ゆう 講談社 2022年8月





 

 風光明媚な瀬戸内の島に育った高校生の暁海(あきみ)と、自由奔放な母の恋愛に振り回され島に転校してきた櫂(かい)。 ともに心に孤独と欠落を抱えた二人は、惹かれ合い、すれ違い、そして成長していく。 生きることの自由さと不自由さを描き続けてきた著者が紡ぐ、ひとつではない愛の物語。



暁海にしろ、 櫂にしろ、親のことで苦労してる。

ふたりは、似た環境だったからこそ、惹かれあったのかもしれない。



高校を卒業し、親を捨てられず、地元に残った暁海。

東京で漫画家として成功した櫂。

環境の違いがふたりを遠ざけた。


想い合っているのに、ふたりの心のすれ違いが、切なかった。



人生には自分では、どうもならないごとがある。

もがき苦しみながらも毎日を過ごしていかないくてはならない。




暁海と櫂。

しばらく別々の人生を歩んだからこそ、お互いが、どれだけ大切な存在だったかがわかったのではないか。



小さな島では、うわさが絶えず、隠しごとはできない。

でも本人が、穏やかな気持ちで過ごせるなら、まわりがなんと言おうとそれでいいのだと思う。



本屋大賞受賞、納得の作品。


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