看守の信念
城山真一 宝島社 2022年3月

「悩み抜いてたどりついたのは、乗り越えるのでも、逃げるのでもなく、結局、ただ抱えて生きていくしかないという思いでした」 第一話「しゃくぜん」 釈放前の更生プログラムに参加した模範囚が、外出先で姿を消した。発見されるまでの「空白の30分」で何が起きたのか? 第二話「甘シャリ」 刑務所内で行われた運動会の翌日、集団食中毒事件が発生。果たして故意の犯行なのか。炊事係の受刑者が容疑者に浮上するが……。 第三話「赤犬」 古い備品保管庫で原因不明の火災が起きた。火の気もなく、人の出入りもなかったはずの密室でいったいどうして? 第四話「がて」 窃盗の常習犯である受刑者の心の拠り所は、あるジャズシンガーとの文通。しかし、その女性は実在していなかった――。 第五話「チンコロ」 「また殺される」と書かれた匿名の投書が刑務所に届く。差出人は元受刑者か。そして、投書に隠された意味とは?



釈放前の更生プログラムで外出した時に模範囚がいなくなる
食中毒は故意の犯行か?
備品保管庫での火災の原因は?
受刑者の文通相手先に会いに行くが・・・・
匿名の投書は、元受刑者を雇い入れてくれる協力雇用主の専務のイジメがひどいというものだった

どの短編もひとひねりあり、ミステリーとしておもしろい。

看守たちは、刑務所内にいる時だけでなく、出所後のことも考えてくれている。
受刑者の思いやここで働く看守の思いも心に残る。


そして、最後・・・・
またしても、だまされた!

火石がこの仕事を選んだ理由、信念を引き継ぐことができてよかった。

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