小林由香 幻冬舎 2021年5月
「 悪魔」の子と噂される少年、良世。事故で娘を失った過去を持つ翔子は、亡くなった姉の形見である息子を預かり育てることになるが、良世は掴みどころがなく何を考えているかもわからない。不気味な行動も多いなか翔子は子供を育てることに自信が持てず不安は募るが……。
翔 子の姉は、息子・良世を産んですぐ亡くなっていた。その良世の父親が殺人犯で捕まる。
翔子は、良世を預かることになるが・・・・
父親は病気で入院るすると良世には話をして、翔子と良世はいっしょに暮らし始める。
良世は、場面緘黙症で話をしない。
無表情で何を考えているのかわからない。
恐ろしい絵を描いたりする。
そんな良世とどのように接していけばいいのか?
最初、良世のことをこわいと感じることもある翔子。
しかし、そんな良世を救いたいという強い思いがある。
良世との生活の中で、娘のことでの後悔や姉との関係などにも思いを巡らせる。
翔子の心の内面が細やかに描かれている。
出来事には、それぞれに意味がある。
人の悪の部分も含めて多様な事実が隠れていると思った。
前半の暗い印象が後半は徐々に光を得ていくように感じた。
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