君嶋彼方 KADOKAWA  2022年8月





 

 




高校二年の冴木旭には、時間を止めるという特殊能力がある。だが旭にとって一番大事なのは、普通の場所で、普通の人と同じように生きていくことだ。異質な存在に向けられる無遠慮な視線や偏見に耐え、必死で笑顔をつくっていた旭だったが、大量の机が教室の窓から投げ捨てられるという怪事件が起こり、能力者が犯人ではないかと疑われる。旭は真犯人を見つけて疑いを晴らそうとするも、悩みをわかり合えると思っていた能力者仲間の篠宮と我妻にも距離を置かれてしまう。焦りを覚えていたところに、また新たな事件が起きて……。




時間をとめることができる冴木旭。他人の心をがわかる篠宮。瞬間移動できる我妻。

特殊な能力を持つ3人が通う高校で事件が起きる。

事件が起きると能力者が疑われる。

旭は真犯人を見つけ、疑いをはらそうとする。



特殊能力を持つ者の孤独や苦悩。

異質なものを排除しようとすることは、現代でもある。

このような特殊能力に限らず、現代社会において、同じような葛藤はあると思う。


旭は、普通のように生きていくために、まわりに気を使い、無理に笑顔を作っている。


非協力的だった篠宮と我妻の2人が旭の一生懸命な行動により、変わっていくところがよかった。


岡先生が、「犯人は、能力者かもしれないし、そうじゃないかもしれない」と、中立の立場で、能力者達と接している、いい先生だ。


高校生達の友情や進路の悩みなど、ていねいに描かれていた。



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