奥田亜希子 双葉社 2022年5月






 

 中学教師の葉奈子は中二の夏、ネットの掲示板で声をかけてきた男のもとに身を寄せた。 そこは、母親から放置されていた葉奈子が逃げ込んだ場所だった。 だが、教え子の女子生徒が抱える秘密と、15年前の夏の記憶が重なったとき、ひとつの真実が立ち上がる――。 心に傷を負ったまま生きる中年男性教師の再起を絡めて描く、希望と祈りの物語。



少女の誰にも言えない家庭の悩み。

苦しい思いのはけ口をSNSやインスタグラムなどのネット社会に求めてしまう。

そこでの出会いが、心の拠り所となったことは、事実だろう。

しかし、相手は、下心のある男かもしれない、善意からの行いとは限らない。

複雑な思いだ。

近くに相談できる人がいたらいいけど、難しい問題だ。


中学の教師になった葉奈子は、生徒星来と関わっていくうち、自分の過去と対峙することになる。

同僚の溝淵先生、最初は、無神経な中年男かと思ったけど、彼も昔のことを引きずっていたのね。


星来を助けようと協力する葉奈子と溝淵。

それぞれが、前向きになるラストがよかった。



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