に星を放つ 窪美澄 文藝春秋 2022年5月




 

 

かけがえのない人間関係を失い傷ついた者たちが、再び誰かと心を通わせることができるのかを問いかける短編集。 コロナ禍のさなか、婚活アプリで出会った恋人との関係、30歳を前に早世した双子の妹の彼氏との交流を通して、人が人と別れることの哀しみを描く「真夜中のアボカド」。学校でいじめを受けている女子中学生と亡くなった母親の幽霊との奇妙な同居生活を描く「真珠星スピカ」、父の再婚相手との微妙な溝を埋められない小学生の寄る辺なさを描く「星の随に」など、人の心の揺らぎが輝きを放つ五編。



真夜中のアボカド
婚活アプリで出会った恋人。                                      
亡くなったふたごの妹の恋人。
どちらと付き合うのだろうと思ったが・・・・・・・・

銀紙色のアンタレス
16歳の真。
夏休み、海が大好きな真は、海に近いばあちゃんの家に行く。
今までは、海にいるだけで楽しかったのに、
楽しいだけの海でなくなる。
真はひとつ大人になった。

真珠星スピカ
交通事故で亡くなった母。声は聞こえないが、その存在が見える娘のみちる。
みちるは、学校でいじめられ、保健室登校をしていた・・・・
幽霊になっても、娘を守ろうとする。母の愛情を感じた。

湿りの海
離婚した妻と娘はアメリカに行った。
隣りに娘と同じくらいの少女と母親が引っ越してきて、親しくなるが・・・・

星の随に
新しいお母さん(渚さん)も生まれた弟も好きだ。でも小学4年生の僕は、本当のお母さんと会っていた。
ある日、家に鍵がかかっていて入れず、同じマンションのおばあさんの家ですごす・・・・


とげを持った人たち。チクリと胸に刺さる。
ひとくせも、ふたくせもある人たちで、うまくいかないことばかり・・・・・・・・
それでも新しい関係を大切にしたいという思いが、どの作品からも感じられた。

窪美澄さんは、好きな作家さんのひとりなので、直木賞受賞、うれしいです。

お気に入り度★★★★