深緑野分 文藝春秋 2022年4月






戦後ハリウッドの映画界でもがき、爪痕を残そうと奮闘した特殊造形師・マチルダ。 脚光を浴びながら、自身の才能を信じ切れず葛藤する、現代ロンドンのCGクリエイター・ヴィヴィアン。 CGの嵐が吹き荒れるなか、映画に魅せられた2人の魂が、時を越えて共鳴する。 特殊効果の“魔法”によって、“夢”を生み出すことに人生を賭した2人の女性クリエイター。その愛と真実の物語。




前半、マチルダが主人公。
特殊メイクや造形を手掛けるヴェンゴスの弟子となり、実力を発揮していく。映画の仕事を手掛けるも、スタッフロール(エンドロール)には会社の名前で、個人名はない。そんな時代だった。

マチルダは自分の作品に自信を持っていたからこそコンピューターCGはにせものだと思っていた。しかし、モーリーンにCGの映像を見せられた時、衝撃を受ける。
モーリーンも、マチルダも映画を愛していた。モーリーンは、いっしょに映画を作っていきたかったのだろう。しかし・・・・
結果として、リーヴを奪っておきながら、無邪気にマチルダの前にあらわれるモーリーンを許せない気持ち、わかるなあ。


後半はヴィヴが主人公。
アニメーターとして、才能を発揮するも、行き詰まっていた。
そんなとき、「レジェンド・オブ・ストレンジャー」のリメイクを作ることになる。

リメイクって、むつかしいと思う。オリジナルがヒットした作品だと余計に。
オリジナルに敬意を表したいい作品にしてほしいと思う。

モーリーンがヴィヴに接触してくる理由とは?


映画を愛するクリエーターの物語。
形は違えど、映画にかける情熱は、同じように熱い。

映画を作る過程も詳しく書かれていて、
ひとつの映画ができるまでには、多くの人たちが関わり、
たいへんな想いが結集されてできているのだと、改めて思った。

スタッフロールに名前が載ることは、誇りなんだろうな。

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