無月の譜 松浦寿輝 毎日新聞出版 2022年3月





「別次元の輝きだった。手に取って一枚一枚じっくりと見る前から、 駒がざらりと散らばったあたりが、すでに仄かな光に包まれているように見えた」 戦死した駒師が遺した傑作はどこへ? 棋士の夢破れた青年が、再起をかけてその行方を追う。 失われた駒を求めて、東京からシンガポール、マレーシア、アメリカへ―― 旅の終わりに青年・竜介がたどり着いた真実とは? 松浦文学のあらたな到達点。幻の将棋駒をめぐる希望と再生の物語です。


プロ棋士になれなかった竜介は、Webデザイナーとして働いている。
竜介は、将棋の駒に興味を持ち、大叔父・関岳史が駒作りの職人であったことを知り、大叔父のことを調べるが・・・・・・・・

関岳史とは、どんな人物だったのか。
彼と関わりのある人から話を聞くうち、その人物像が浮かび上がる。

そして、幻の将棋の駒を探しにシンガポールへ行くが、その駒は、次々と別の場所に移っていて、それを追いかける旅に・・・・・・・・



竜介が最後に下した答、私は、いい決断をしたと思う。
将棋の駒は、将棋をするための道具であるが、芸術品でもあると思う。
それでも、使ってこそ、意味があると思う。

竜介は、この旅で、吹っ切れた。
将棋を楽しむ境地に達することができたのだと思う。

竜介の師匠夫妻が竜介を見守る気持ちが暖かい。
また、竜介に話を聞かせてくれた田能村や安井が、いい味を出していた。

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