緊急事態宣言中で、図書館が休館中なので、家にある、ちょっと昔の本を読んでみた。 
しばらく、そんな本の感想が続きます。


ミラクル 

文:辻仁成 絵:望月通陽 新潮文庫 1997年8月



僕の名前はアル。ジャズピアニストのパパと南へ向かって旅を続けている。僕はママを知らない。だけど、きっとどこかにいる。いつもどこでも僕はママを探しているんだ―。大人になってなくしてしまったものをもういちど見つめてみませんか?すっかり大人になってしまった、かつての子供たちへ贈る、愛しくせつない物語。あたたかな文と絵でお届けする、優しい気持ちになれる一冊。





ピアノバーで、壁に向かって演奏していたアルの話を僕が聞く。

アルのママは、出産とひきかえに命を落とす。
死を信じたくないアルの父は、成長して物心がついたアルに、「ママは生きている。雪が降る日に戻ってくる。」と。
それ以来、雪が降らない南へ向かう旅を繰り返していた。

アルは、ダダ・ジョナサンとアントニオ・エラソーニのふたりの幽霊と友だちになる。
ふたりに「ママはいったい何?」と聞くと、「許してくれる人」と答える。
それから、人のママだと思える人に、いろいろ質問したり、悪いことをして許してくれるか試そうとするが・・・・・・・・。


そして、クリスマスの夜、暖かい地方に雪が降る。
アルは、ママに会えるのか?


純粋にママを思うアルの気持ちが切ない。
奇跡は心の中で起こせるのだと、ラストは、涙があふれた。


ページごとに、線で描かれた人の絵、味がある。


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