辻村深月 講談社 2018年6月



 

 

美術教師の美穂には、有名人になった教え子がいる。彼の名は高輪佑。国民的アイドルグループの一員だ。しかし、美穂が覚えている小学校時代の彼は、おとなしくて地味な生徒だった――ある特別な思い出を除いて。今日、TV番組の収録で佑が美穂の働く小学校を訪れる。久しぶりの再会が彼女にもたらすものとは。





昔の知り合いが有名人となった時、過去のことを軽々しく話すべきではないと思った。

過去の関わりは、過去のことで、その時、相手がどのように思っていたかわからないから。

見下されていたほうは、そのことを忘れないのだ。

ずっと根に持っている暗い感情がおそろしい。

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