平岡陽明 小学館 2021年4月


地図の空白地帯を埋めろ!

 

 



人はみな「自分の道」をゆく英雄である。
友情、青春、仕事、人生。
俺たちは、ただ前だけを見て歩いてきた――。

地図会社キョーリンの調査員・合志俊介。彼の仕事は日本各地を歩き、家の表札を一軒ずつ書き留めること。
俊介には一平と湯太郎という幼馴染みがいた。三人は十五歳になる年、裏山のクスノキで誓いを立てた。
一つ、友のピンチは助けること、二つ、友の頼みは断らないこと、三つ、友に隠し事はしないこと。
その日から、男たちはそれぞれの“道”を歩き始めた。

地図づくりに生涯を捧げた男たちの熱き物語!


一軒一軒歩いて名前を書き留めて作る。なんと地道な作業なのだろう。住宅地図が、こんな苦労のもとに作られていたとは!
名古屋の地下街をどのようにして調べたのか?北海道の広い地で、奥の方まで調べる苦労。東京は、移り変わりが激しい。会社がすぐ変わってしまい、毎年作り直さなければならないなど、地図作りの苦労話が、興味深い。


一平、俊介、湯太郎のの3人は、クスノキの上で、誓い合う。

友のピンチは助けること
友の頼みは断らんこと
友に隠しごとをせんこと

一平、俊介の父ら3人・永伍、葉造、純一もこのクスノキで誓い合ったという。


仕事、友情、親子愛、夫婦愛・・・・
たくさんの要素が詰まった物語だ。

ミステリーでないけれど、近くの写真館の七五三の写真、父と母が名前で呼びあっていること・・・・
等のことが、後で効いてくる。


父から渡された手紙は、驚きと共に、涙なくしては、読めなかった。


真摯に仕事に向かう姿、男の強い友情に感動した。

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