奥田亜希子 集英社 2020年5月



気鋭の小説家、初のエッセイ集。
パーティーもBBQもフェスも見当たらず、学生でもない。でもこれは紛うことなき青春だ!
会社の同期五人との、謎の熱狂。平日は毎晩のように誰かの部屋に集まり、一台のベッドにぎゅうぎゅう詰めで眠る。会社のロッカーに共用の風呂道具を入れて、仕事帰りにみんなで銭湯に通う。北は北海道から南は長崎まで、弾丸旅行へ行きまくる――。
「私が体験した青春は、ジェネリックだったのかもしれない」。
記録魔だからこそ振り返ることのできる、あまりにもさっぱりとした自虐エッセイ!
どうか笑ってあげてください。


インパクトのある題名だったので読んでみた。
奥田亜希子さんの初エッセイだが、とても、面白かった。

控えめで暗かった昔の自分に対して
もし私の声が届くとしても、君は大丈夫だよ、みたいな言葉は口にしたくない。そう簡単に喜ばせてたまるか、という気持ちがある。
といじわるな発言!


地域密着型のフリーペーパーを発行している会社に就職した作者。
そこで出会った同期五人との関係、半端なく仲がいいのだ。
学生時代ならともかく、就職してから、こんな青春を謳歌できるなんてありえない。
そして、仕事をやめてからでも、結婚して子どもができてからでも、付き合いがあるなんて、うらやましいかぎりだ。

同期と行ったという旅行の話が最高!
「愛されキャラ」「アイヌが似合うティーンふう」「ヒッピー」といったドレスコードを決めたり、おそろいのつなぎやねこのTシャツを着たり・・・・・・・・
目的地に行く楽しみというより、みんなと行動をともにしているということが楽しいみたいだ。

写真もあり、その時の様子がよりいっそう、鮮明に浮かぶ?

記録魔の作者ならでは、学生時代の日記も紹介されている。


作者の作品は「白野真澄はしょうがない」しか読んでないので、他の作品も読んでみたい。

お気に入り度★★★★