谷瑞恵 KADOKAWA 2020年6月

 

 



大阪の靭公園にある、手作りサンドイッチの専門店『ピクニック・バスケット』。おっとりした姉・笹子がつくる絶品サンドイッチと、しっかり者の妹・蕗子の切り盛りに惹かれ、多くの客が店を訪れている。笹子のサンドイッチは、誰かが胸の内で大事にしている味に、そっと寄り添ってくれるのだ…。そんななか蕗子は、笹子が元彼と会っているらしいと知る。フランス帰りのシェフだという彼は、自分のレストランに笹子を誘おうとしているのかもしれない―。心穏やかではいられない蕗子だが、一方、彼女のほうにも新たな変化の兆しが…!?


青い火 
テラスでキュウリを丸かじりしている少女がいた。突然声をかけられ、持っていたたくさんのキュウリを落としてしまうが、そのまま駆け出して行った。

中校生の時、キュウリを丸かじりしていた彼。高校生になり再会。これは違うという。


オーロラ姫のごちそう 
時々買いに来る母子。いつもピンクのサンドイッチを買って行くが、その日は、ご機嫌斜めだった。それからも買いに来なくなり・・・・・・・・

好き嫌いとか、栄養のバランスとか、カロリーだの糖質だのオーガニックだの添加物だの、いろいろ気を遣えば健康になれるのだろうか。
何よりもの栄養は、楽しい食事なのかもしれない。おいしかったという記憶は、誰とどんなふうに食べたのかによるのだろう。>

黄昏ワルツ
「クラブハウスサンド」がないかというお客さんが来て・・・・・・・・

明日の果実
祖父のかわりにジャムサンドを探しに来た女性。そのサンドイッチは、中味をあてられたらいいことがあるというサンドイッチだという。

祝福のサンドイッチケーキ
結婚に反対する父親。その父親がいつも買うサンドイッチがあるという。



どれもほんわかとする物語だ。

笹子の作るサンドイッチは、お客さんの心に寄り添っている。関わった人たちを幸福にする。素晴らしいサンドイッチだ。



笹ちゃんに元恋人が現れ、どうなるのかと、ドキドキ。
蕗ちゃんの淡い恋心にほくそ笑んだ。


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