窪美澄 集英社 2017年3月

 

 



家具職人の壱晴は毎年十二月の数日間、声が出なくなる。過去のトラウマによるものだが、原因は隠して生きてきた。制作会社勤務の桜子は困窮する実家を経済的に支えていて、恋と縁遠い。欠けた心を抱えたふたりの出会いの行方とは。


家具職人の壱晴と制作会社勤務の桜子は、友達の結婚式で出会い、一夜を共にする。
そんなところから物語は始まる。



心に傷をおった壱晴と、生活のため恋とは縁遠い桜子。
お互い、相手に関心を持ちながらも、すぐに恋愛に発展することはなく、
つかず離れずの関係。
それがなんとももどかしい。

壱晴と桜子のそれぞれの主観で、描かれているので、
その時、どう思っていたのかがよくわかる。

過去の傷をも含めての相手を受け入れることには勇気がいりそうだが、
ふたりが寄り添うことで、少しでも、前向きな気持ちになれそうなふたりを
応援したいと思った。

お気に入り度★★★★★