寺地はるな 新潮社 2020 3

 

 

弟が放火犯の疑いがある女と姿を消したらしいと、母から連絡があった。僕は、彼と交流があった人物に会いに行ったが、弟の印象はそれぞれまるで異なっていた―。僕たちの声は、弟に届くのだろうか。人生の「希望」とは何なのか。


初読み作家さん。

が誠実(まさみ)と弟が希望(のそむ)という名前とは、親はどんな気持ちでつけたのだろう。

弟希望のゆくえがわからず、兄誠実が探すという物語。

誠実は、希望の昔の恋人や仕事の後輩などに会いに行き、話を聞く。
そこには、自分が知っている弟とは違う弟の姿があつた。
弟の居場所を探すつもりが、弟とは、いったいどんな人物なのかを探すことになる。


「いいよ」となんでも受け入れる希望。
それは、優しさからではなく、自分が空っぽで自分の信念を持っていなかったから。
そんな希望の人生に、虚しさを感じた。
これからは、自分の道を歩けたらいいな。

今までを、見てみぬふりをしてきた誠実。
弟探しは、自分探しでもあったのだ。

希望(きぼう)のゆくえは?
その答えは、読者にゆだねられている。

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