マチネの終わりに

平野啓一郎 文藝春秋 2019年6月

天才クラシックギタリスト・蒔野聡史と、国際ジャーナリスト・小峰洋子。四十代という“人生の暗い森”を前に出会った二人の切なすぎる恋の行方を軸に、芸術と生活、父と娘、グローバリズム、生と死などのテーマが重層的に描かれる。いつまでも作品世界に浸っていたいと思わずにはいられないロングセラー恋愛小説


たった三度会っただけ。
それでも、運命の人って思えるんだから、ふたりの波長が、ぴったりあったってことなんだろう。

ふたりは、一緒になろうとした。

それなのに、いろんな偶然が重なり、こんな行き違いになってしまうとは・・・・・・・・
もどかしくて悶々としながら読んでいった。

この小説の魅力のひとつが、蒔野聡史と小峰洋子が、自分の仕事や主張に、ブレることがないことだろう。
さまざまな葛藤はあったみたいだが・・・・・・・・

〈主人公として生きるのか。脇役として生きるのか。〉
脇役として生きようとした早苗。
彼女は、あることをしてしまう。その行いは、してはいけないこと。
その結果、自分の思い通りになったとしても、
罪の意識にさいなまれる。
彼女の気持ちも重く受けとめた。

過去は変えられのか?
そのテーマの意味を考えさせられる。

お気に入り度★★★★★