ひとつむぎの手

 

知念実希人 新潮社 2018年9月

 

 

ひとつむぎの手 ひとつむぎの手
1,512円
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大学病院で過酷な勤務に耐えている平良祐介は、医局の最高権力者・赤石教授に、三人の研修医の指導を指示される。彼らを入局させれば、念願の心臓外科医への道が開けるが、失敗すれば…。さらに、赤石が論文データを捏造したと告発する怪文書が出回り、祐介は「犯人探し」を命じられる。個性的な研修医達の指導をし、告発の真相を探るなか、怪文書が巻き起こした騒動は、やがて予想もしなかった事態へと発展していく―。

 

 

佑介は、患者のことを第一に考えて、真面目に医療に取り組んでいる。

 

孫の結婚式に出たいという患者。

がん再発の子を持つ親。

 

そんな患者らの治療の方針を考える佑介は、科学的データに基づいたうえで、患者の気持ちに寄り添った治療を考えている。

その姿が素晴らしい。

 

研修医3人に、どのように指示すればいいのか?

心臓外科に入局させるため、いろんなことをしてみて、最初は、反感をかつてしまったようだが、

佑介のありのままの姿を見せることで、その良さは、自然と、わかってくる。

個性的な3人だったが、そのエピソード、佑介に傾倒していく様がよい。

 

ラストの研修医3人の言葉に、うるっとしてしまった。

 

佑介の奥さんもできた人だな。

 

医療現場は、たいへんだろうけど、佑介のような医者にいてほしい。

 

怪文書の犯人探しというミステリー部分も加えたうえで、心温まる作品となっている

 

お気に入り度★★★★★