みかづき

 

森絵都 集英社 2016年9月

 

 

みかづきみかづき
1,998円
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昭和36年。小学校用務員の大島吾郎は、勉強を教えていた児童の母親、赤坂千明に誘われ、ともに学習塾を立ち上げる。女手ひとつで娘を育てる千明と結婚し、家族になった吾郎。ベビーブームと経済成長を背景に、塾も順調に成長してゆくが、予期せぬ波瀾がふたりを襲い―。山あり谷あり涙あり。昭和~平成の塾業界を舞台に、三世代にわたって奮闘を続ける家族の感動巨編!

 

 

 

小学校用務員だった吾郎を説得し、千明は塾を始める。その当時は、塾は懐疑的な存在だった。
それが、時代とともに、塾の数も増え、塾の競争がおきる。
そして、千明が始めた塾は、わからないところを教える塾から、進学塾へと変貌を遂げる。
 
それに伴い千明と吾郎の仲もあやうくなっていく。
 
塾の変遷、文部省との関係の変化、教育に対する考え方等、多くの問題が語られている。
 
千明、吾郎の考え方の違い、その娘たち、三人三様の考え方・・・・・・・
ずっと、塾とかかわりを持っていた人たちばかりではない。
 
回り道をたくさんした。
それでも、教育の場に戻ってきたように思う。
 
孫の一郎。教育とは、かけ離れた場所にいた彼が、自らが気づき、始めたこと。
現代の問題点を提示している。
それを応援しようとする家族の人たちの姿がよかった。
 

 

<どんな子であれ、親がすべきことは一つよ。
人生は生きる価値があるってことを自分の人生をもって教えるだけ>
<一緒になるなら、ほどよく鈍感でおおらかな男を選びなさい>

千明の母、頼子の助言は、他にもあったが、的をえていると思う。

 

 

信念をもって、行動していても、思うようにいかないことは多くあるだろう。時代とともに、考え方が、変わることもあるだろう。

紆余曲折を繰り返しながら、周りの人の手助けを得て、前に進んでいくものではないだろうか。

 

 

 
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