メビウス・ファクトリー

 

三崎亜記 集英社 2016年8月

 

 

「この工場で奉仕するために必要なことは、愛情と使命感を持つことだ」ブラック企業を辞め、妻子を連れて地元へUターン就職したアルト。町は巨大工場を中心にシステム化されており、住民は誇りを持って働いている。しかしそこで何が作られているか、実は誰も知らない―。アルトたちも徐々に工場の「秘密」に気づきはじめ…。

 

 

三崎さんの独特の世界、今回は、工場だ。

 

 

ME創研を中心とした企業城下町。町民は、ほとんど車を使わずバスが頻繁に通っている。この町では現金を使うことなく、支給されたパスで済ませる。

 

閉鎖された町で、疑うこともなく、働く町民たち。

国民の生活に欠かせないP1を作っていると信じている。

実際、感謝の手紙も届いている。

 

 

 

私たちから見たら、疑問点がいっぱい。

しかし、外の世界を知らず、洗脳されているのか、疑いもしない。

 

製品に「真心」を込めるとか、こめないとか、そんなの見分けがつくわけがない。

憎しみを込めて、汚染が起きるとか、ありえない。

しかし、それは、何かの象徴のようにもとれる。

 

疑いを持った人たちの行動。

こういう場合があると、さまざまな仮説は、書かれているが、事実はどこにあるのか、明かされていない。

一つ見方を変えれば、いろんな考え方があるということだ。

 

<大きな欺瞞の歯車を回すための、小さな歯車>

何かを隠すために行われている?

 

ありえない世界なのに、私たちにどこか通じるようなところがあり、恐ろしく感じた。

 

 

 

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