借金取りの王子
垣根涼介 新潮社 2007年9月
リストラを専門に請け負う会社、日本ヒューマンアクト㈱の社員である真介は、クビ切りを言い渡す仕事をしている。きょうも、美代子をアシスタントにし、リストラ候補社員の面接を行う・・・・・・
君たちに明日はない に続く第2弾。
真介が以前行った社内のアンケートを社長の高橋が気に入り、汎用性のあるものに作り直し、リストラ候補の同僚たちに評価させている。同じ職場の人間からどう思われているのか知りたいようなこわいような・・・・・
リストラ候補にあがった人たちは・・・・・・・・・・・・・
南急百貨店 外商 野口・倉橋なぎさ
東京安井生命保険会社 総合職 松本一彦
消費者金融フレンド㈱ 店長 三浦宏明
ホテル常盤屋・岩室荘 従業員 窪田秋子
サラリーマンはたいへんだとつくづく思う。ノルマを達成するために働き、達成したら、上乗せされる。会社の利益が落ちると人件費の削減でリストラされる。そして人間関係もむつかしい・・・・・・いろんな会社の仕組みや裏側も覗き見することができて興味深かった。
中でも、「借金取りの王子」の消費者金融のやり方は、悪質だ。
研修という項目で本社に呼び出され、厳しい叱責、店長同士の罵倒し合い。こんなに締め付けられてまで、働かなければいけないのか。こんな会社早くやめちまえと叫びたかった。
三浦の恋の相手、そこまで考えていたのかと彼女の決意に驚かされた。
真介の仕事は、リストラを進めるのだから、嫌われ役ではある。しかし、この話を読んでいると、真介の面談を受けている人たちは、人生を見直すいいきっかけになっているように思う。会社に残るのも残らないのも、その人の意志で決める。どちらの決断も、将来が明るいような印象で終わっているところがよかった。
そして、真介と陽子の関係。距離を置いているけれど、お互いを尊重しあって、いい関係に思う。高橋社長にクラッとした陽子の気持ちわかるような・・・・
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