5年3組リョウタ組


石田衣良 角川書店 2008年1月



 

公立小学校では一目おかれている希望の丘小学校。各学年では、校長の方針で、クラスごとに成績、生活態度、課外活動などの競争が行われていた。教員の評価にも成績主義が入り込んでいる。中道良太は、初めて持つ高学年5年3組の担任である。昨年最下位だったので、今年こそは最下位脱出をと・・・・・


茶髪でドクロのネックレスをする中根良太は元気いっぱいで感情で動いてしまう。一方、スポーツカーに乗り授業もスーツで行う染谷龍一は、クールで頭脳もいい。この二人が、仲間となっていろんな問題を解決していく。二人はお互いに持ってないものを相手がもっているからうまくいくのだろう。


Ⅰ 四月の嵐

本多元也は、成績はトップクラスで、手もかからない児童であったが、授業中に教室を抜けだしていく・・・


Ⅱ 七月の冷たい風

4年2組担当の立野先生が1週間病欠で休んだあとも無断欠席をしているので、校長から頼まれて、同じ寮に住む中道、染谷は、立野を訪ねるが・・・・・


Ⅲ 十二月、みんなの家

日高真一郎の家が火事になる。子どもが火をつけたという情報が入る・・・・・


Ⅳ 三月、クラス競争の終わり

到達度試験にむけ、3組の集中力はあがり、生徒たちが自主的に、成績上位の十人(ハイテン)が下位の十人(ローテン)に勉強を教える・・・・


上から教え込もうとせず、生徒の目線で接している良太に好感が持てる。

親子の関係に悩む本多に対し、強い人は弱い人の気持ちを考えてあげなくちゃいけない。と大人、子どもの関係を超えた発言がよかった。

良太は、自分の感情を素直に出している。記者会見の様子は、今時、うわべの言葉を並べるだけのありきたりの記者会見が多い中、誠意のある言葉だったと思った。



難を言えば、あまりにスムーズに事が運びすぎること。

良太は何も考えないで感情に任せて突っ走っていく。その無鉄砲さも彼のいいところなのかもしれないが、それがすべていい方向に向かっている。リアルティがないという印象を受けた。



先生たちの間でのいじめや、学校内でのトラブルを解決していかなくてはならない先生という職業は、ただ、教科書のことを教えているだけではすまされないたいへんな職業だ。また、社会に出て活躍することもないかもしれない、長く生きることもできない障害児を教える養護学校の先生たちの苦労を垣間見た気がした。



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