君たちに明日はない


垣根涼介 新潮社 2,005年4月




リストラを専門に請け負う会社、日本ヒューマンアクト㈱の社員である真介は、クビ切りを言い渡す仕事をしている。きょうも、美代子をアシスタントにし、リストラ候補社員の面接を行う・・・・・・


リストラ候補にあがった人たちは・・・・・・・・・・・・・

建材メーカー女性総合職         芹沢陽子 

おもちゃメーカー              緒方紀夫 

ひかり銀行  銀行員           池田昌男

トヨハツ自動車 コンパニオン       日出子

音楽プロダクション プロジューサー  石井 or 黒川

事後のトラブルに怯え、企業はわざわざ日本ヒューマンアクト㈱というクビ切り職業集団にアウトソーシングする。今の時代、経費削減でリストラされる社員も多い。実際にこのようなクビ切り会社があるのかどうかは不明だけれど、解雇を言い渡すのにこのような会社を使うのは、後腐れなくていいのかも。

一度、リストラ候補要員の名簿に載ってしまったら、やめるしか道はないのかなあとしみじみと感じた。いくら抵抗しても明るい将来はない。残るのなら、よほどの覚悟が必要。真介の面接にかかるとやめた方がいいという気になる。それが仕事なのだろうけど、やめる気にさせるのがうまい。


ACT3「旧友」では、銀行を辞めてから後の話に。昌男の決心も見事ながら、妻の返事もいい。仕事に対する意気込みが感じられた。


ACT5「去り行く者」では、二人のプロジューサーのうちひとりをやめさせる。会社の利益を考えた石井にやり方。ミュージシャンを重視した黒川のやり方。私の選んだのも、真介と同じだったけれど、どう納得させるのかとおもったら・・・・・・・・・・・・なるほど!


各章で、真介がリストラを言い渡したそれぞれの人たちの人生が感じられると同時に、その登場人物と真介が恋におちいったりして話が発展していく。また、真介自身の事では、今の仕事を天職としているわけではなく夢が破れてこうして働いていることや、友達も登場して、これからどうなるのかと興味をそそられた。


ある転機をむかえた時、人はどう動くのか。それを読むのは興味深い。


お気に入り度★★★★