でかい月だな
水森サトリ 集英社 2007年1月
中学生の沢村幸彦(ユキ)は綾瀬涼平と海へ行くが、綾瀬にガードレールから蹴り落とされ、右足に障害が残る。家族は、綾瀬のことを悪く言うが、ユキは綾瀬を友達だと思っているため、親に反発する。大好きなバスケをできなくなったユキだが、旧理科準備室で植物通信機を作っている科学オタク中川や、左目に眼帯をし言葉を紡がずひとりでいる横山かごめの変人二人と関わるようになる・・・・
綾瀬はなぜ蹴り落としたのか、そして今はいったいどうしているのかという疑問を残したまま話は進むが、加害者である綾瀬をかばう気持ち、バスケができない悔しさ、そんなユキの胸のうちがていねいに描かれている。
ユキの両親が綾瀬を許せない気持ち、親としてよくわかるんだけど、その親を許さないことで、ユキは平常心を保っていたんだろうな。
中川とかごめのキャラがいい。ユキとのやりとりがおもしろい。
中川は、ずぶぬれになっているユキに理由を聞かずに家に迎えいれてくれるなど、自然なやさしさがとてもいい。
かごめは、最初、変なやつだと思ったけれど、印象が変わってかわいく思えてきた。
そして、最後はやはりユキとあの子との対面だろう。中学生の気持ちをよくとらえた小説だと思う。
さかなの群れが見えたり、やつらがやってきたり、やさしさブームが到来したりとSF的な要素の場面はよくわからなかったけれど、なんとなく雰囲気はつかめた。
お気に入り度★★★★
余談
最近は携帯電話に頼りすぎて、なんでも携帯に記憶させている人が多い。もしなくなったら・・・・・
メモを取らずに頭の中に記憶させることは大切なことかも。(メモは忘却の始まりと言っていた中川からの教訓)
