メディケアとGPについて考える | hanaco今度はAUSナースになる

hanaco今度はAUSナースになる

ナース(日本)→フローリスト(UK)→ナース(オーストラリア)
紆余曲折の末、2018年9月よりQLDの田舎町でナースになり2022年10月からNSWシドニーへ。
ナースになる過程や仕事に関すること以外にもグルメや旅行も好きなので、そんなことも書いてます。

この前頼んだUberの運転手さんがどんなき

っかけだったか憶えてないけど、自分は急性

骨髄性白血病で今朝抗がん剤治療を病院で

受けてきたんだと話し始めその時にこの国の

メディケアというシステムがいかに素晴らし

く特にQLDは一流なんだと主張してきた。



私も周りにがん患者がいるから知ってるけど

確かにがんなど命に関わる疾患の場合の治療

や保証は素晴らしいんです。



身近なところで言うとがんの治療は絶対に

遅らせられないのでスタッフが足りなくても

そこは優先されるしリモートなので専門医と 

ビデオ通話になるけど診察もフォローアップ

も(ほぼ)もれることはない。



友人は公立病院で乳がんオペと抗がん剤治療

を経験してるけどその際はいつも同じドク

ターが見に来てくれたし(そんなことは普通

の公立病院ではほぼ起こり得ない)、直ぐに

メンタルサポートやオペ後の下着屋さんとか

紹介してくれて至れり尽くせりだったと感謝 

してたし。



前の大家さんもがん患者で抗がん剤だけでな

く過去に2度幹細胞治療も遠い遠い病院まで

行って受けて、その間に付き添いとまでは

いかないけど家族も一緒に滞在したいから

近くにホテル取るけどそういうお金ももちろ

ん出るし、家まで帰って来るためのヘリや

救急車利用なども無料。



前に重度の熱傷でうちの病院からブリスベン

までヘリで搬送した患者さんの治療だって

その搬送費用だってぜーんぶ無料!



何ならうちはQLDでもFar Northと呼ばれる

北の北なのでThursday IslandなどTorres

Strait Islands(トレス海峡諸島)の人たちの

治療もするとのことで例えばその人たちが 

がんで抗がん剤治療が2週間に1度必要になっ

たとして、その搬送費用も付き添い家族の

宿泊費も補償されるわけです。



だから本当に命に関わる疾患や状態に対して

はこのメディケアというシステムは素晴らし

いと思う。

それに異論はなし。



だけど!!

って話を数日前に書きました



その時の記事



都市部では気づいているか分からないけど

GP不足がかなり逼迫していて私の住むエリア

でGPの新規登録は不可能。

登録できていてもドクターの入れ替わりが激

しく継続したフォローアップができていない

し最近はBulk Billingというその場での支払い

をせずに済むGPが減りました。



聞いたところによるとここ20年ほどメディ

ケアにおけるGPへ助成金が減り続けGPを

やっても儲からないので、医師を目指す人は

GPよりも専門医への道を選択しがちだと。

そしてBulk Billingのシステムが私にはいま

いち理解できてませんがそれをやってしまう

とお金の確保がきちんとできない?とかで

きちんとその場で患者さんからお金を徴収し

後で自分でクレームして下さいとなっている

らしい。



そうするとお金のない患者さんは例えクレー

ムすれば返って来るとは分かっててもその場

で支払いができないからGPへは行けず、

結果公立病院の救急外来へ直接行くしか手立

てがなくなり、救急外来であるべき場所に

優先度の低い人も高い人もみんな来ることに

なって病院は適切に患者さんを捌けなくなる

という現象が起きております。

私もGP登録できてない1人なので、何かあれ

ば病院の救急外来に行くしかないもやもや



こういうことを知っていて「メディケアとい

うシステムは世界で一番スゴいんだ!」

とか主張されても私には完全同意はできない

し、前の記事でも書いた「命に今すぐ影響の

ない疾患」に対する治療が全然間に合ってな

いこともこの運転手さんに触れてみたけど、

このおじさん聞く耳持たず凝視



「そういう状況はあるだろうけどやっぱり

 手厚いよ、がん治療や命に関わる治療は」



って、アナタ

自分のことだけ良ければいいのですか真顔はてなマーク



私も見ず知らずのがん患者さんと議論を交

わすほどのことはないので、そうよねー

特にQLDは救急車も無料だしね(正確に言う

と無料ではなく公共料金支払い時に負担を

しているらしいけど)と煽てて褒めておいて

会話を終了。



多分これがオージー同士だったらいいんだけ

ど見た目から外国人の私に自分の国の自分が

誇る国民医療システムを貶められるのは彼の

プライドが許さなそうだなと察知してアセアセ



GP登録できないなんてことは都会にはまだ

起こってないんでしょうね。

まぁ日本でもやはり医療においては田舎の方

が圧倒的に地理的にもアクセス困難だし同様

なのでしょう。

メディケアというシステムについて職業柄

いろいろと考えることが多いのでちょっと

語ってみました。