前回はなぜミント系が食べたくなるのかについて考えてみました。
今回は、ハッカのその他の働きと、どんな漢方に含まれているのかについて、みていきたいと思います
ハッカには、疏肝解欝(そかんげうつ)のほかに、
疏散風熱(そさんふうねつ)(風や熱を発散させる←初期の、かぜや鼻の炎症を退治する)
清頭目(せいとうもく)(頭と目をスッキリさせる)
利咽喉(りいんこう)(のどの状態を整える)
透疹止痒(とうしんしよう)(かゆみを抑えようとする)
などの働きがあります
ハッカのど飴をなめた時の感覚ですね
また、ハッカは、辛涼解表(しんりょうげひょう)薬というカテゴリーに分類することができます。
辛涼解表とは、味は辛くて、涼しく感じさせ、少し発汗させながら体の表面にある熱を逃してクールダウンさせてくれます。
ハッカが含まれる漢方は、
加味逍遙散(かみしょうようさん)
清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)
防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)
荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)
柴胡清肝湯(さいこせいかんとう)
滋陰至宝湯(じいんしほうとう)
川芎茶調散(せんきゅうちゃちょうさん)
などです。
女性に関係のある漢方ですと、加味逍遙散ですね
加味逍遙散は"気逆"(きぎゃく)や"肝気鬱結"(かんきうっけつ)に良いとされています。
"気逆"とは、猫が怒った時に毛が逆立つように、気持ちが下から上に逆立っているような状態のことです。
"肝気鬱結"とは、気持ちがギュッと結ばれてほどけない状態です。つまり、イライラしているときです。
女性の場合は、生理前になると胸が張ったり、心が不安定になることがあると思いますPMS(月経前症候群)の1つですね。
生理が遅れたり、生理周期が長くなったりもします。
肝気鬱結の状態から、ギアを変えられると、"疏肝解鬱"(溜まった気を流す)に向かえるのですが、これが難しいのです
何せ、このコントローラーを握っているのは、自分自身ではなく、"肝"(かん)だからですね。
ハッカは加味逍遙散の生薬の中で、疏肝解鬱(溜まった気を流す)の一番手ではないのですが、その補佐役を担っています
(加味逍遙散は、ボタンピが含まれているので妊婦の方は注意が必要です。)
他には、
荊芥連翹湯は、蓄膿症(副鼻腔炎)、慢性鼻炎、にきび。
柴胡清肝湯は、神経が勝っているタイプの方の扁桃炎、湿疹。
清上防風湯は首や頭などのニキビ。
川芎茶調散は頭痛など。
滋陰至宝湯は、せきや、たんなど。
防風通聖散は、筋肉たっぷりで便秘しがちの方に。またこのタイプの方の吹き出物に。
ハッカの説明は以上です
ところで、
解表剤(げひょうざい)には何種類かありますが、
主に、辛温解表(しんおんげひょう)と、辛涼解表(しんりょうげひょう)に分類できます。
辛温解表は、温めて発汗させ、汗とともに熱を逃して体の表面にある熱をクールダウンさせます。
辛涼解表は、先ほどのとおり、辛温解表よりは発汗させる力は弱いですが、涼しく感じさせながら、体の表面にある熱をクールダウンさせます。
同じ"辛い風味"でも2種類の解表(発汗してクールダウンさせる)の仕方があるということです。
ハッカは辛涼解表に分類されますが、例えば前回の中にでてきた、シナモンやシソ、生姜は辛温解表に分類されます。
次回はショウガについて見ていきたいと思います。
解表剤の中の辛温解表の中に含まれる生姜は
辛温解表のとおり、発汗させて冷ましたり、使い方によっては温めたりします。
次回詳しく見ていきましょう。
以前の記事もご参照ください。
漢方薬について① 不妊治療でも使われることのある漢方薬のこと知ってみませんか。
漢方薬について② 生薬って身近にある!? ハッカ(ミント)のいい働きについて
漢方薬について③ 生薬って身近にある!? 続・ハッカ(ミント)のいい働きについて
漢方薬について④ 生薬って身近にある!? 生薬のしょうがには2種類ある!?
漢方薬について⑤ 生薬って身近にある!? しょうが(生姜)のいい働きについて
漢方薬について⑥ 生薬って身近にある!? しょうが「乾姜」のいい働きと処方について
漢方薬について⑦ 生薬って身近にある!? 山芋編 精がつくの”精”ってなんだろう!?
漢方薬について⑧ 生薬って身近にある!? ナツメのいい働きについて
漢方薬について⑨ 生薬って身近にある!? 人参(ニンジン)のいい働きについて
文責:[生殖医療薬剤部門] 吉田 知世 山本 健児 [理事長] 塩谷 雅英
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