ご質問


たくさんブログを読ませて頂きました。
私は今年30になり、妊活を始めてから三ヶ月になります。主人は今年31になります。

一周期目で妊娠できなかったので、不安になってしまい(1ヶ月では焦りすぎだとは思いますが)私が一人で不妊外来に行きました。
血液検査などの結果は正常でしたが内診をした所、多嚢胞(卵巣症候群)気味かな?と言われました。

血液検査ではLH5.7FSH8.0でした。

多嚢胞に当てはまる血液検査の結果とは違うような気がしたのですが、毎日不安になってしまっています。
 

基礎体温は二相になっていて、排卵検査薬では陽性陰性がはっきりわかります

基礎体温が二相になっていても、排卵がされていないことはありますか?
 

生理周期は平均で33から35日です。、しかし今月は妊活のストレスもあり、色々考えすぎてしまったせいか43日でした。
排卵検査薬で、排卵が1週間遅れていたので生理も遅れるとは思っていました。

例えば、生理が何日か遅れて38日を過ぎてしまうと稀発月経と判断するのでしょうか?
 

その後は、ドクターと合わなかったので病院には行かなくなってしまいました。。。
主人とは、一年出来なかったら二人で病院に行こうと話しています。

生理が来るたび泣いてしまい、本当にストレスになっていると思います。

私は妊娠できる!と信じていますが、あまり深刻に考えないようにすることも自分にとってプラスになりますでしょうか。

長文乱文申し訳ございません。
これからもブログ拝見させていただきます。


 

 

 

お答え

 

いつもハナブロをお読みいただきありがとうございます。

ご質問をありがとうございます。

ご質問をまとめますと、このようになりそうですね。
①    質問者様が多嚢胞性卵巣症候群(以下PCOS)なのか
②    基礎体温が二相性でも排卵していないことがあるか
③    月経発来が38日を過ぎたら稀発月経と判断するのか
④    深刻に考えないことがプラスになるのか

以上4点、お答えします。


①  質問者様が多嚢胞性卵巣症候群(以下PCOS)なのか
日本産科婦人科学会が定めたPCOSの診断基準は

・月経異常
・LH基礎値高値かつFSH基礎値正常 もしくは 男性ホルモン高値
・多嚢胞性卵巣(超音波)

の3つを満たすことです。

 


質問者のホルモン値はLH5.7 FSH8.0と記載されていますので、PCOSのパターンではありません。

(男性ホルモンは測定されていないようなので不明)
 

また、一般的に25~38日周期で3~7日続く周期が正常と言われていますが、質問者様の月経周期は33~35日とのことなので、月経不順でもありません。

 

となると、残りは超音波の所見だけですね。おそらく超音波で小さい卵胞がたくさん見えたのでしょう。
「厳密にはPCOSの診断基準に当てはまらないけど、超音波だけはそう見える」
という意味で、「多嚢胞気味かな?」と言われたのだと思います。

そもそもPCOSの何が問題なのかというと、
排卵しにくい、あるいは排卵が不規則になる
ということに尽きます。

ですので、質問者様のように
・排卵検査薬でしっかりと陽性反応が出ている
・基礎体温が二相性になっていて、おおむね月経も規則正しい
場合は気にしなくてよいでしょう。


ちなみに排卵検査薬は陽性反応が出る時期が限定されますので、たとえ陰性であったとしても排卵後である可能性があります。
ですので、あまり結果に一喜一憂されないようにして下さい。


まんがで読む不妊治療ガイド(塩谷雅英 著) 多嚢胞性卵巣症候群より


② 基礎体温が二相性でも排卵していないことがあるか
基礎体温が上昇するのは、プロゲステロンの作用によるものです。
プロゲステロンは黄体から分泌されるホルモンです。
排卵しなければ黄体はできませんので、基礎体温が二相性であるということは排卵したということです。

 

黄体化非破裂卵胞(LUF)ってことはないのでしょうか、とお考えかもしれません。

黄体化非破裂卵胞(LUF)は卵胞が成長して排卵期が来ても、卵胞が破裂せず、排卵が起こらないままに卵胞が黄体へと変化して、基礎体温は高温相に移行するものの、実際は排卵が起こっていないように見える状態です。

 

我々の経験では、超音波で黄体化非破裂卵胞(LUF)のように見えてもその周期で妊娠されている方も少なくありません。

一般に考えられているよりも、その頻度は非常に稀ですので、黄体化非破裂卵胞(LUF)のことを心配するのは心配しすぎ、と言えます。


③ 月経発来が38日を過ぎたら稀発月経と判断するのか
おそらく質問者様は、PCOSのことをご自分で調べられたのでしょう。
そして、診断基準に月経異常(稀発月経も含まれる)があったので、気になっているのだと思います。


ネットで検索すると「月経周期が39日以上3ヶ月以内のものを希発月経」というような文章がヒットすることと思います。

ただ、普段の月経周期が安定しているなら、1周期だけ長引いたとしても問題ありません。

月経周期が39日以上になることが繰り返される場合だけ「稀発月経」と診断します。

質問者様は、この「稀発月経」にはあてはまりません。

 

したがいまして、あまり稀発月経という言葉に囚われる必要はないと思います。
ストレスや運動のしすぎ、食事制限などで月経周期が狂ってしまうことはよくあります。
「私は病気なんじゃないか…。」と思いつめることが月経不順の原因になり得るわけです。


④ 深刻に考えないことがプラスになるのか

これは、間違いなくプラスになります。
上記の通り、ストレスは妊娠にとって大敵です。

 

月経周期、排卵のタイミング、卵巣からのホルモンの分泌、これら全ての司令塔は、脳の一部である視床下部です。
生理が来るたびに泣いてしまうという精神状態は、非常に良くないですね。

大脳にストレスを与える結果となり、このストレスによって脳の一部である視床下部の働きが低下することにつながります。


ご自身でもわかっておられることとは思いますが、妊活を始めてまだ3ヶ月とのことですが、焦るような時期では全くありません

まだお若いですし、半年はゆったりと構えられてください。

受診するのはそれからで十分ですよ!

最後に、質問者様が心身ともにリラックスされ、赤ちゃんに恵まれますよう、心からお祈り申し上げます。
 

 

以前の記事もご参照ください

多嚢胞性卵胞症候群(PCOS)の病態と治療について その1

多嚢胞性卵胞症候群(PCOS)の病態と治療について その2

『ハナブロQ&A』 その34 (PCOS傾向と言われましたが…)

 

文責:[医師部門] 江夏 国宏 [理事長] 塩谷 雅英

 

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